2018/03/04【農業の風評被害を広めたのは誰か】
3.11を前に、福島の農業は原発事故による風評のために未だに苦労しているとの報道がありました。
そうした報道をするマスコミのうち、反原発の立場を取るマスコミは、「だから原発はいらないのだ」という言い方をします。
しかし、よくよく考えてみると、風評被害を拡大させた責任の一旦はマスコミにもあるのではないでしょうか。
「福島産の食品を食べるとガンになる」とか、「福島では今後何十年も農業ができなくなる」とか、事故直後の数か月間のマスコミ報道は特にひどかったように思います。
ですから、心あるマスコミであるならば、風評被害に苦しむ農家を第三者的に伝えるだけでなく、本来は風評被害の払拭に努めるべきではないでしょうか。
更には、一部のマスコミは、風評被害に苦しむ農家を引用する形で、反原発に利用しているようにさえ見えます。
福島ではどの地域よりも厳しい検査を行てっていますし、そもそも低レベルの放射線は人体に健康被害を及ぼすものでないことは科学的にも言われています。
流通している福島の農産品は安全であり、全く心配ないということを、正しく理解する必要があります。
2018/03/03【露の核戦力強化は対米だけではない?】
ロシアのプーチン大統領は、年次教書演説で、米国のミサイル防衛システムに対抗するために核戦力を強化する方針を示しました。
具体的には、新型の弾道ミサイルや、核爆弾を搭載した無人潜水艇、原子力を動力とし地球の裏側も攻撃できる長距離核巡航ミサイルなどが上がっています。
トランプ大統領が、先月、米国が長らく核戦力の維持に重点を置いてきた方針を転換し、新型の核兵器を開発する方針を示したことも、今回のプーチン大統領の演説に繋がっているものと見られています。
ロシアは、クリミア問題などを巡って欧米と対立していることから、米国を念頭に軍備を強化しているということは間違いありません。
一方で、あまり表には出てきませんが、ロシアは台頭する中国を念頭に置いていることも事実ではないでしょうか。
中露は、対米で立場を同じくすることがあるため、一見、関係は良好ですが、歴史的に両国は敵対関係にあります。
その中国の軍事費の総額は、米国には劣るものの、ロシアの3倍以上と、中露間で大きな開きが出来ています。
経済が好調とは言えない状況のロシアは、兵器の更改を進めてはいるものの、財政難により1世代や2世代前の兵器の姿も目立ちます。
今回の方針では、そうした状況の中で、ロシアが米国だけでなく中国に対しても対抗できるように、核戦力を特に力を入れて強化していると見ることができます。
日本も、こうしたロシアの事情を考慮して、対中国でロシアと共闘できるようにしなければならないと考えます。
そのために、ロシアに対する経済制裁の緩和もしくは撤回を早急に実施することも、有効策ではないでしょうか。
2018/03/02【ますます民主化に逆行する中国】
中国共産党は、国家主席の任期を現行の2期10年までとする憲法の規定を撤廃する方針を明らかにしました。
実現すれば、習近平主席の長期政権が可能となります。
この動きは明らかに民主化と逆行するものです。
権力構造が不透明な一党独裁国家が、今度は習近平氏による独裁国家に近づきつつあるということではないでしょうか。
中国は大量の留学生を米国を始めとした欧米の民主国家に送っています。
一昔前までは、「欧米諸国で中国人留学生を受け入れれば、欧米の思想に感化された人材がいずれ帰国して、中国を民主化する原動力になる」などと言われていました。
しかし、現実には、その反対に中国共産党による民主化勢力への締め付けは厳しさを増しています。
それどころか、留学先で「孔子学院」を開設し、逆に中国共産党の新派を育成しようとさえしています。
米国ではFBIが一部の孔子学院への捜査に踏み切っており、FBIの長官は孔子学院の活動が米学術界で中国に対する無邪気な見方を広める手段になっているとしています(※)。
しかし、こうした中国の動きは米国内に限ったことではありません。
日本をはじめ米国以外の国でも、中国に対する無邪気な見方を捨てて、「孔子学院」を始めとした事実上の中国共産党のプロパガンダ機関に注意を払うべきではないでしょうか。
その上で、中国の民主化に向けて何ができるのか、国際社会は真剣に考える必要があります。
※:2月27日付読売新聞http://www.yomiuri.co.jp/world/20180227-OYT1T50012.html
2018/03/01【最大の景気対策は何か】
来年度予算案が衆院で可決成立し、参院に送られました。
これによって、仮に参院で可決しなくても、衆院の採決が優先されるため、予算案は年度内の成立が確実となりました。
与党側の半ば強引な採決に野党側は反発していますが、与党は例によって「予算案の成立こそが最大の景気対策だ」として譲りません。
確かに、新年度になっても予算が成立しなければ、経済が混乱するであろうことは理解できますが、本当に今回の予算案が景気対策として最大の効果を生むものなのでしょうか。
やはり今の日本にとって景気対策として最大のものは減税ではないでしょうか。
特に、来年の秋に予定されている消費税の増税を撤回し、減税することこそ最大の景気対策であると考えます。
与党側はアベノミクスによって戦後最長の景気回復期が続いているとしていますが、国民の実質賃金はむしろ減っており、国民の間に好景気の実感はありません。
そうした状況であるからこそ、消費減税が国民の消費を促すことに繋がるはずです。
消費税は、たかだか数%とも言えるかもしれませんが、消費税は経済活動のあらゆる場面で掛かります。
一つの商品が消費者の手元に届くまでに、材料の段階、流通の段階、販売の段階など、何度も何度も掛かるのです。
ですから、最大の景気対策というのであれば、是非、消費減税の英断を下して頂きたいものだと考えます。
2018/02/28【どこの国の軍隊も防衛を目的としているのが現実】
現在、自民党の改憲案をまとめるにあたって、9条の第2項の扱いが焦点の一つとなっています。
安倍首相の改憲案では、第2項を残したうえで、第3項として自衛隊を明記するとしています。
しかし、第2項で、「戦力の不保持」を謳っておきながら、第3項では一転して、「戦力である自衛隊の存在」を謳うのであれば、憲法自体が矛盾を有していることになります。
これでは、次世代や、或いはその後の時代においても、「解釈論」が延々と続くことになります。
自衛隊は、世界からはっきりと「軍隊」と認識されています。
にもかかわらず、日本国内では、「自衛隊は自衛のための組織であって軍隊ではない。だから第2項で言うところの戦力にはあたらない」などと言う解釈がまかり通っています。
ここで、各国の軍隊を見てみると、どの国の軍隊も基本的には防衛を目的としており、侵略を目的として軍隊を持っている国はないことが分かります。
一部、米国などは同盟国の防衛や自国の考える世界秩序のために軍隊を展開させることがありますが、各国の軍隊は基本的には自衛のための組織と言えます。
ですから、なぜ、日本だけが「自衛のための戦力は軍隊ではない」と言い切れるのでしょうか。
少なくとも、その考え方は世界で通用しません。
自衛権は、独立国家であれば当然持っている権利であり、先の大戦でナチスが誕生したドイツでさえ、今は軍隊を持っています。
日本としても、自国を防衛するためには9条を全面的に見直すべきと考えますが、あえて9条を残すというのであれば、第2項を削除した上で、自衛隊の存在を明記することが筋ではないでしょうか。
2018/02/27【選挙制度改革について】
自民党は、憲法改正案の中身についての議論を具体化させています。
その中で、参議院の合区解消のために、憲法に1都道府県に1議員の規定を設けることを検討しています。
それぞれの都道府県に最低一人の代表がいなければ、その都道府県の要望を国に十分に届けられないからといのうが建前だと考えられます。
しかし、その都道府県の要望がどの程度叶えられるか否かは、その都道府県の国会議員の有無というよりは、その国会議員が与党か否かということが大きいのが現実です。
選挙制民主主義の弊害の一つかもしれませんが、政府は与党系議員のいる選挙区に対してどうしても手厚く対応しがちです。
ですから、地方の民意を正しく国政に反映させるという点では、憲法改正よりは、まずは衆院の中選挙区を復活させることを検討すべきではないでしょうか。
2018/02/26【中国企業と関係を持つということは】
中国の大手自動車メーカー「吉利汽車(ジーリー)」が、メルセデス・ベンツを展開するドイツのダイムラーの筆頭株主となりました。
メルセデス・ベンツと言えば、自動車造りにおいて世界の自動車メーカーが目標とするような存在です。
そのダイムラーの経営に、中国企業が影響を与える立場になったということは、自動車業界のみならず経済界全体にとってもインパクトが大きいのではないでしょうか。
自動車業界は、EV化、自動運転、コネクティッドカーなど、他業種からの新たな技術が次世代の自動車を造る上でカギになるとされ、メーカー間の再編は避けて通れないと見られています。
ですから、たとえダイムラーであっても、一社で全ての技術的課題を克服し製品として確立することは難しいと見られています。
そうした中で中国企業がダイムラーと提携するということは、ダイムラーにとっては安定した財務基盤を得られる上に、米国と並んで巨大な中国市場で事業を優位に展開できると算段したのかもしれませんし、吉利汽車にとっては、一躍、ダイムラーの最先端技術を手に入れるということになります。
「経済原理に従ったまで」と言えばそれまでですが、忘れてならないのは、中国企業に純粋な民間企業は存在しないということです。
つまり、中国企業は中国共産党の影響下にあるということです。
それは、平時は表面化してきませんが、一たび中国と国際的な対立が生じると、政治性を帯びた形で企業活動に強い影響を及ぼしてきます。
中国企業と関係を持つということは、そうしたリスクがあるということを念頭に置く必要があります。
2018/02/25【政府がギャンブルを推奨する国ではいけない】
政府は、解禁するカジノについて、依存症対策のために2千円の入場料を徴収する方針を明らかにしています。
これに対し『ザ・リバティ』は「依存させながら依存対策をする矛盾」と指摘しいていますが、まさにその通りです(※)。
そうした中で、今度はプロ野球にスポーツ振興くじを導入する動きが明らかになっています。
いわゆるサッカーくじ「toto」のプロ野球版ですが、日本プロ野球機構側には野球の振興に掛ける予算を増大したいなどという思惑があるようです。
確かに、スポーツ振興くじを導入すればファンの楽しみが増えるかもしれませんし、試合そのものも一層盛り上がるかもしれません。
しかし、プロスポーツに賭け事を導入する動きには、何となく健全ではないものを感じてしまのも事実ではないでしょうか。
20年ほど前にサッカーくじが導入された際も、プロ野球にも同様のくじを導入する動きが一部でありましたが、当のプロ野球側は導入に反対していたと記憶しています。
当時も今と同じようにギャンブルに対する懸念があったからですが、今回、導入するのであれば、導入する側はそうした懸念に対し納得いく説明をしなければなりません。
そもそもギャンブルは、一般の人が賭場を開帳すると罪に問われる性格のものですから、なぜ罪になるのか思い出す必要があります。
まさか経済対策になるのであればどんなことでもいいという訳ではないでしょうが、日本は政府が率先してギャンブルを推奨するような国であってほしくないと思うの方は少なくないのではないでしょうか。
※:2月22日付The Liberty Web http://the-liberty.com/article.php?item_id=14172
2018/02/24【勤勉に働くことは悪いことではない】
23日は月末最後の金曜日で、いわゆる「プレミアムフライデー」でした。
政府などが主導して、導入からちょうど一年経ちますが、最近ではすっかり話題に上らなくなった感があります。
月末の金曜日に早期に退社して、空いた時間を消費に回してほしいという目論みですが、政府が主導するこうしたキャンペーンはだいたい成功しないように思われます。
政府が率先して国民に対して「そんなに働くな」と言っているようなキャンペーンですが、企業としての実務上の都合もあるものの、昔からの日本人の美徳とされる「勤勉さ」が国民の間に根強く残っているので、思いのほか国民が乗らなかったのではないでしょうか。
今、国会でデータの不正が明らかになってやり玉に上がっている働き方改革法案ですが、これも政府が「そんなに働くな」と言っている感が漂います。
この法案は、本当に労働生産性の向上に寄与し、過労死に至るような過酷な労働を防止できるのであれば評価できる部分もあります。
しかし、一律に労働時間を短縮させ、怠け者に堕すことを助長するのであれば考えものです。
「命よりも大切な仕事は無い」といいますが、「命を懸けて取り組むべき仕事がある」とも言います。
どちらの考え方を取るかは個人の裁量次第かもしれませんが、勤勉に働いて社会に貢献することは善であり喜びでもあります。
政府には、そうした方向で国民を導いて頂きたいと思います。
2018/02/23【単発か双発か】
青森県の在日米軍三沢基地を離陸したF-16戦闘機が、エンジンの不具合に見舞われ、機体を軽くするために外部燃料タンクを湖に投棄するという事件がありました。
当時、湖では数艘(そう)の漁船が操業しており、一部のマスコミなどからは、「米軍による安全を顧みない行為であり、全国どこでも起こり得る」などとして批判が上がっています。
しかし、毎時数百キロメートルの速度で飛行する戦闘機から、湖に浮かぶ小さな漁船の存在を実際に確認できたか否かは別として、当該米軍機が陸上ではなく湖に外部燃料タンクを投棄したという点で、被害を最小限に留めたいという意図は感じられます。
そしてこの問題は、「何があっても地上に物を落下させてはまかりならない」ということならば、「戦闘機は単発か双発か」という議論に行き着くことにもなります。
F-16はエンジンが一つである単発の戦闘機です。
ですから、エンジンに不具合が起きれば、たちまち高度を失います。
しかし、技術の発達でエンジンの不具合が発生する確率は非常に低く、単発の機体であっても信頼性が高いとして各国で導入されています。
かつて日本でも、F-16をベースとしたF-2戦闘機を導入するにあたって、F-4やF-15といった双発の機体を数多く運用してきた経緯から、単発のF-2を危惧する声がありました。
しかし、エンジン技術の発達に加えて、「エンジンが二つあれば単純に故障発生率も2倍になる」とか、「被弾した際の生存性は、単発も双発もさほど変わらない」などとして、経済性も加味して、結局F-2の導入が決定したと言われています。
現在、自衛隊でも導入が進むステルス戦闘機F-35も単発の機体です。
信頼性が高い上に、兵装などの多くを機内に搭載するF-35は在来機と単純に比較できませんが、それでも今回の件で心情的には「やっぱり双発のF-22のほうが良かった」と思う関係者も多いかもしれません。
今後、F-2の後継に加えて、F-15の後継の検討が本格化します。
F-35の追加導入が濃厚と言われていますが、国産の双発機の開発を期待する声も高まるかもしれません。
いずれにせよ日本の航空産業の技術力の維持向上のためにも、是非、世界水準を上回る国産機の導入を実現して頂きたいと考えます。