12月
03

2018/12/03【本当の‟保護主義”は米か中か】

 米中貿易戦争は、G20での米中首脳会談で、一時休戦の運びとなりました。  米国が来年1月の大幅な関税引き上げを90日先延ばしする代わりに、中国は米国から農産品などを大量に購入するとともに、中国による知的財産の侵害やサイバー攻撃についてはその間に協議するとしています。    今回の米中の合意は、中国が譲歩した形であり、関税自主権を行使したトランプ大統領の成果といえます。    前任のオバマ大統領は…

11月
29

2018/11/29【台湾、脱原発と中国による選挙干渉の動き】

 台湾は福島第一原発の事故を受けて、脱原発に舵を切りましたが、先に行われた国民投票で原発を運転できる期限を撤廃することが決まりました。  具体的には、2025年までに原発を停止させるという法律が失効し、2025年以降も運転を続けることが可能となりました。  台湾海峡の軍事バランスが大陸側に傾きつつある中で、島国である台湾が有事の際に中国によって海上封鎖されるような事態となれば、台湾にとって原発は死…

11月
27

2018/11/27【ますます高まる海自の空母保有の必要性】

 中国の国営メディアが、中国軍の3隻目となる空母を建造していることを報道しました。  これにより、中国政府が3隻目の空母の建造を公式に認めたことになります。  報道では詳細には触れていませんが、1・2隻目は、艦載機の運用に制限があるスキージャンプ式の発艦方法を取っているのに対し、3隻目は米海軍などと同様のカタパルト式の発艦方法を採用していると考えられています。  就役は早くとも数年先と見られますが…

11月
26

2018/11/26【台湾の未来に対する日本の役割】

 台湾の統一地方選挙が行われ、大陸側の中国共産党と距離を置く与党民進党が大敗しました。  大敗の原因は、年金や労働法制の改革などの内政が不評だったことが主とされますが、大陸側政府による台湾への数々の締め付けにより、有権者が将来に不安を感じたことも大きいと見られています。  大陸側政府は外交面や経済面で力の差を見せつけて、台湾国民の独立に対する厭戦気分を引き出したとも言えるのではないでしょうか。  …

11月
24

2018/11/24【米政府が禁じた通信機器】

 米国政府は、日本など同盟国に対し、中国の通信機器大手「華為技術」の通信機器を使用しないように要求しているとのことです(※)。    米国は、盗聴や情報漏えいなど安全保障上のリスクがあるとして、既に政府機関での華為技術の製品の使用を禁止しています。    華為技術はかねてから中国共産や中国軍からの独立性に疑念があった訳ですから、日本政府も米国から要求を受ける前に、華為技術の製品の使用を禁止してしか…

11月
20

2018/11/21【防衛力強化の原資をどう確保するか】

 今年見直しされる「防衛計画の大綱」の骨子案が明らかになっています(※)。  軍備拡大を続ける中国を念頭に、それに対抗できる防衛力整備を盛り込み、中でもサイバー空間や宇宙空間での防衛力整備に重点を置いています。  また、自衛隊の人員不足に対応するため、装備の省力化や無人化にも力点を置いています。    一方で、敵基地攻撃能力の保有を見送るとともに、既存のヘリコプター搭載護衛艦の空母の改装は継続審議…

11月
20

2018/11/20【軍に予算を付けず米国を危険にさらした大統領とは】

 オバマ前大統領の夫人のミシェル氏が、自身の回顧録でトランプ大統領を許さないと述べています。  同氏は、トランプ氏の過激な発言で家族が危険にさらされたとしています。  これに対しトランプ大統領は、既にオバマ氏に対する誤った発言は撤回しているものの、米軍に十分な予算を付けなかったことで米国を危険にさらしたとするオバマ氏を、逆に許さないと反撃しています。  トランプ大統領の不用意な発言でオバマ氏家族が…

11月
19

2018/11/19【中国が描く“列島線”の怖さ】

 パプアニューギニアで初となるAPECが開催されました。  中国はパプアニューギニアに対し巨額の経済支援をするだけに留まらず、APECには習近平主席が一番乗りで入国するなど、中国のパプアニューギニアに対する思い入れは並々ならぬものがあります。    その理由は、一帯一路構想でパプアニューギニアを取り込むとともに、豊富な天然資源が目当てと見られています。  更に、各マスコミが伝えているのが、パプアニ…

11月
16

2018/11/16【日露平和条約締結に向けて】

 日露首脳会談が行われ、日ソ共同宣言を基礎に平和条約交渉を加速することで合意しました。  この1956年の日ソ共同宣言は、平和条約締結後に北方4島のうち歯舞諸島と色丹島の2島を返還するとしています。    9月にプーチン大統領が前提条件なしに平和条約を結ぶという提案をしましたが、日本側は平和条約を結ぶと領土問題が解決したかのような印象を国際社会に与えかねないなどとして、提案に慎重な姿勢を示していま…

11月
12

2018/11/12【なぜ脅威から目を背けるのか】

 沖縄県の玉城知事が訪米するのを前に、日本外国特派員協会で記者会見を開きました。  ある記者が中国の脅威についての認識を問うと、玉城氏は国防や外交は国の専権事項であるとして明言を避けました(※1)。    一方で玉城氏は記者会見に先立ち岩屋防衛相と会談しましたが、その中で氏は「東アジアの安全保障環境は米朝首脳会談が行われるなど、平和環境の構築へと変化している(※2)」として、在沖縄米軍の存在意義が…