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2016/01/03【増強を進める中国の戦略核】

 中国は、大陸間弾道弾などの核ミサイルを運用する部隊を、「ロケット軍」などとして新たに発足させました(※)。
これは、従来、「第二砲兵」などと称し、陸軍の旗下にあると見られていた部隊を、陸海空の三軍などと同格に位置づける改編と考えられています。中国首脳部は、この「ロケット軍」の強化を打ち出しています。

 現状では、核戦力は米国が優位にありますが、中国は核戦力を強化することで、米国が中国に対して本気で戦争を仕掛けることができない環境を構築しています。
同時に、中国は、建前としては核の先制不使用を謳いつつも、核戦力を持たない国に対しては、「いざとなれば核攻撃も辞さないぞ」という圧力を与えることになります。

 日本としては、中国の核攻撃に対しては、当面、同盟国である米国の核の傘に頼らざるを得ない状況が続きますが、万一に備え、迎撃能力を高めておく必要がますます重要となっています。

 日本の核ミサイルに対する防衛体制は、イージス護衛艦搭載の迎撃ミサイルSM-3による高高度での迎撃と、地上配備の迎撃ミサイルPAC-3による低高度の迎撃の二段構えとなっています。

 高速かつ、おとりの弾頭を複数備える最近の核ミサイルは、迎撃が困難な上に、PAC-3は一つの都市程度の狭い範囲しか防衛できません。

 従って、海に囲まれている日本としては、比較的広範囲を防衛できるイージス艦のほうが有効と考えられており、実際に、来年度予算の概算要求ではイージス艦一隻を新たに計上しています。

 しかし、イージス艦は高価であるため、簡単に配備数を増やすことができません。
よって、PAC-3よりも広範囲を防衛できる米国の地上配備型迎撃ミサイルTHAADやそのほかの迎撃システムの導入の検討を急ぐ必要がありそうです。

※:1月2日付読売新聞http://www.yomiuri.co.jp/world/20160102-OYT1T50061.html?from=ytop_top