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2015/05/23【AIIBが危ない!カラクリ①中国だけが拒否権を持てる?②中国が4倍の資金を使える?】

 中国主導のアジアインフラ投資銀行(AIIB)の設立時の資本金は、創設メンバー国の会合で、当初の5百億ドル(約6兆円)から倍の1千億ドル(12兆円)に引き上げることに決まったとのことです(※1)。
 

 同じ会合で、AIIBの規約として、重要議題の決定では出資比率に応じた「4分の3以上の賛成が必要」との条項を盛り込むことを検討しているとされます(※2)。
中国の出資比率は、26%から29%になる見込みで参加国の中で唯一4分の1以上ということですから、事実上中国のみが拒否権を持つことになります。

 これは、AIIBが中国の意向に反する案件には投資しないということであり、ある意味、中国は自身の出資額の約4倍もの資金を、中国の意向に沿った形で投資できるということです。

 ヨーロッパの各国など間際になって創設メンバーとなった先進諸国は、AIIBに参加することで内部から透明性を確保することを促すなどとしていましたが、中国が事実上の拒否権を確保することに決まれば、中国の経済的な恩恵にあずかりたいだけということを露呈してしまうことになるのではないでしょうか。

 中国は、軍事的な覇権を確保することを目指すと同時に、経済的な覇権の確保をも目指していることは明らかです。
AIIBが動き出すことで、中国の経済的な影響力は一層強まります。

 少なくとも中国は、民主主義の価値観を共有する国ではなく、共産党の一党独裁国家です。
中国の意向に沿う形での経済発展は、人々に真の幸福をもたらす訳ではないということを理解すべきではないでしょうか。

※1:5月22日付読売新聞http://www.yomiuri.co.jp/world/20150522-OYT1T50128.html?from=ytop_ylist
※2:同日本経済新聞http://www.nikkei.com/article/DGXLASGM22H3N_S5A520C1EAF000/