中国は、実効支配している南シナ海の岩礁周辺を埋め立てて、戦闘機などの発着に使える滑走路を始めとした軍事施設を建設しています。
問題となっている岩礁は周辺各国が領有権を主張している南沙諸島にあります。
フィリピンやマレーシアなどにとっては、自国の数百kmの位置に突如として中国軍の基地が出現することになり、大きな脅威となっています。
そして、国際社会にとってもっと深刻なのは、中国が埋め立てた人工島に領海を主張し始めている点です(※)。
国連海洋法条約では、しばしば「島」か「岩」で議論になることがありますが、中国が埋め立てを行っている「岩礁」は満潮時に海面下に没するため、そもそも領土ではありません。
従って、岩礁をいくら埋め立てて人工島を作っても領海や排他的経済水域を設定できる「島」とは認められないのです。
中国の主張を認めれば、いくらでも領海や排他的経済水域を拡張することができてしまいます。
にもかかわらず中国は、問題となっている岩礁周辺を監視する米軍やフィリピン軍の航空機などに対して、「領海」への侵入に軍事力の行使を示唆して威嚇しています。
東シナ海や南シナ海での領有権問題で、中国の主張に何一つ正当性はありません。こうした中国のわがままな行動から、中国に国連の常任理事国としての資格がないことが分かります。
私たち日本人をはじめ国際社会は、国際秩序を乱す中国の行動にもっと危機感を持つべきではないでしょうか。
※:5月22日付日本経済新聞http://www.nikkei.com/article/DGXLASGM22H7V_S5A520C1FF1000/