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2014/04/22【強まる日本企業の中国離れ】

中国当局は、1930年代当時の賃貸に関わる賠償として、商船三井が所有する大型の輸送船を差し押さえました。

この問題は明らかに戦後賠償に関わるものですが、日中間の戦後賠償については日中平和友好条約の中で、日本が巨額のODAなどの経済援助を行うとともに中華人民共和国を「唯一の中国」として認めることを条件に、中国側が賠償請求を放棄しています。

中国政府はこの問題について、企業の権益保護のためであり戦後賠償と無関係としています(※1)が、裁判所の判断が中国共産党の意向に大きく左右される中国ですから、今回の差し押さえは、歴史問題に絡めた一連の日本に対するゆさぶりであることは間違いないでしょう。

中国国内では、戦時徴用の補償をめぐって訴訟を起こす動きもありますが、今回の差し押さえで、今後、日本企業の中国への投資意欲が下がることは確実です。

既に、今年初めの四半期の日本企業の対中投資額は、前年同期に比べて47%も減っており、中国に投資する諸外国の中で突出しています(※2)。

中国政府は、景気の減速を警戒していますが、今の中国は、日本企業が安心して投資できる環境でないことは明らかです。

日本企業の投資意欲は、中国以外の東南アジア諸国に移りつつありますが、こうした動きは正しい選択ではないでしょうか。

日本企業は、中国投資のリスクを現実のものとして理解しつつあると思いますが、他の外国企業も、中国共産党の意向により投資環境が大きく変わるリスクを理解すべきではないでしょうか。

※1:4月21日付産経新聞http://sankei.jp.msn.com/world/news/140421/chn14042118350003-n1.htm

※2:4月17日付日本経済新聞http://www.nikkei.com/article/DGXNASGM1702U_X10C14A4FF2000/