1月
02

2013/01/02【“財政の崖”で懸念される米国凋落の兆候】

1月1日、懸念されていた米国の「財政の崖」が、当面は回避されることになりました(※)。

「財政の崖」とは、米国で「減税の打ち切り」と政府の「歳出削減」が同時に行われる問題のことで、米国経済のみならず世界経済への負の影響が懸念されていました。

今回、減税の打ち切りについては、世帯年収が45万ドル(1ドル87円で換算すると約3900万円)を超える場合に限って行われ、中・低所得者層への減税は継続することになりました。

また、歳出削減については、2カ月先送りすることになりました。なお、この削減額のほぼ半分を国防費が占めています。

このように、今回の税制の崖の回避は、問題が根本的に解決されたわけではありません。

オバマ大統領は当初、減税の打ち切り対象を25万ドル以上と主張していましたが、共和党の抵抗で45万ドル以上に落ち着きました。

社会保障費の増大という問題が解決しておらず、裕福層を狙い撃ちにし、国への依存度を高めるこうしたバラマキ的な政策により、米国の繁栄への活気が失われようとしています。

更に、歳出削減は単に先送りされただけであり、このまま国防費の大幅な減額が行われれば、今後の世界秩序にも影響を与えます。国防費の削減が続けば、近い将来、米国の国防費が中国の軍事費に抜かれるとの観測があり、それは、中国が覇権を握ることを意味します。

オバマ政権の下では、米国が米国であり続けることができなくなる恐れがあります。

今後、日本は、そうしたことを念頭に、経済面でも安全保障面でも、国家運営を考えていかなければなりません。

※・1月2日付読売新聞http://sankei.jp.msn.com/world/news/130102/amr13010213140000-n1.htm