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2012/04/30【過去最多を記録した中国機へのスクランブル】

防衛省統合幕僚監部の発表によると、2011年度に航空自衛隊が領空侵犯の恐れのある中国機に対して行った緊急発進の回数が、国別の統計を取り始めて以来過去最多になったとのことです(※)。

中国機は、特に東シナ海の南西諸島付近を飛行することが多かったとのです。

近年の軍事的拡大を続ける中国の活動が活発化していることの表れの一つです。

こうした中国の動きに対し、政府は中期防衛力整備計画で、航空自衛隊の那覇基地における戦闘機部隊を、現行の1個飛行隊から2個飛行隊に増強する予定です。

防衛については素人同然と揶揄される民主党にあっては、真っ当な政策ですが、現状では時期を含めて具体的な計画が見えていません。

東日本大震災で訓練に使用されていた戦闘機F-2が津波により多数失われ、また、次期戦闘機として導入が決定したF-35の開発遅延が伝えられる中で、戦闘機の配備数に決して余裕があるわけではない航空自衛隊にあって、どこの飛行隊を移動させるのか課題です。

数年先の状況を踏まえると、現実的にはF-15もしくはF-2の部隊の可能性が高いと考えられます。

近年、中国軍の空からの脅威と合わせて、拡張を続ける中国海軍による脅威が高まっていますが、現在の航空自衛隊の主力であるF-15には対艦攻撃能力がほぼありません。

従って、中国海軍に対しての抑止力を高める意味では、対艦攻撃能力があるF-2の増派は意味がありますが、こちらの配備数はF-15の半分以下で、飛行隊の数も訓練部隊を除くと3個しかなく、余裕がない状況です。

いずれにせよ、那覇基地の増強には、沖縄の住民感情への配慮や、軍民共用の那覇空港の過密化対策など、軍事的要素以外の課題が多数あります。

民主党政権は、国を守る姿勢を本気で示す意味で、普天間基地の移設問題と合わせて、こうした問題に真剣かつ迅速に取り組んで目に見える形で成果を上げて頂きたいものだと思います。

※:4月26日付読売新聞http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20120426-OYT1T00060.htm