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2012/01/31【貿易赤字といっても単に悲観する必要はないのではないでしょうか】

1月25日に、財務省が発表した2011年の貿易統計によると、輸出額から輸入額を差し引いた貿易収支が31年ぶりに赤字になったと各マスコミが報じています。

「輸出立国・日本」は転換点を迎えたという論調がありますが、実は、日本はここ何年も世界の主要国と比べても、輸出立国とは言えない状況です。

総務省の統計局のデータ(※)によると、2005年から2009年の日本のGDPに対する輸出依存度と輸入依存度はともに、10%台で推移しており、40%前後の韓国や30%前後の中国やドイツはおろか、英国やイタリアよりも低い値です。

日本の経済活動においては、トヨタやパナソニックといった輸出型の大企業が取りざたされることが多いため、「輸出立国・日本」というイメージがありますが、日本は思いのほか内需型の国なのです。

また、2011年の貿易収支の赤字額は約2兆5千億円ですが、貿易収支に企業の海外子会社からの配当など所得収支などを加えた経常収支は約14兆円の黒字となっています。

これは、日本が、高付加価値の製造業で稼ぐとともに、海外への投資のリターンでも稼いでいることを表しています。

今の日本は、かつての米国がそうであったように、モノやサービスを輸入し、世界の消費地の役割を果たしており、低迷する世界経済の牽引役となる可能性があります。

その意味では、貿易収支の赤字自体は、日本にとっても、世界の国々にとっても、決して悪いことではないと考えることもできるのだと思います。

※:http://www.stat.go.jp/data/sekai/09.htm#h9-03