1月27日、枝野経済産業相は、今年の夏は国内の原発が全て停止する可能性を示したうえで、電力需給について、法的に強制的な節電を求める電力使用制限令の発動は回避できる可能性が高いとの見方を示しました(※)。
これは、原発が全て停止しても、企業や家庭に我慢を強いる節電を徹底し、火力発電を増強すれば、夏の電力需要をまかなうことができるとの認識です。
しかし、ここにきて火力発電に使用する石油の輸送路にあたる中道のホルムズ海峡の情勢が、イランの核開発問題を巡って急速に緊迫しています。
日本の発電における石油の割合は、火力発電の中では効率がより高いとされるLNGにとって代わられ、近年は10%台ですが、石油の調達が世界的に困難になると、LNGをはじめとした他の化石燃料の価格が高騰する懸念もあります。
危機管理の鉄則は「最悪の状態を想定して最善を尽くし、最悪の状況を抑止し、被害を最小限に抑えること」です。
しかし、民主党野田政権はエネルギー安全保障への対策や備えを行っているふしはありません。
本来であれば、日本政府は、伝統的にイランとの外交関係が良好ですので、外交交渉によってイランと欧米諸国との仲立ちをし、核開発問題とホルムズ海峡封鎖の問題に目途をつける努力をすべきです。
同時に、万一中東で戦争が勃発した場合の対策も迅速に進めておく必要があります。
具体的には、再生可能エネルギーでは十分な電力供給量を確保できないことは明らかなので、原発の再稼働を迅速に進め、原油輸入が滞った際のエネルギー不足、電力危機に備えるべきです。
消費税増税が実施されてしまえば、日本の経済活動にマイナスの影響が及ぶことは避けられませんが、そこに電力不足、電力料金の高騰が加われば、一層の経済活動の停滞を招くことになります。
政権交代以降、3代続く民主党政権は、相変わらず危機管理能力に欠けています。
※:1月27日付読売新聞http://www.yomiuri.co.jp/atmoney/news/20120127-OYT1T00947.htm