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2011/10/29【TPPへの参加が農業の強化になる理由とは】

TPPへの参加の是非をめぐる議論が活発になっています。

10月28日も与党民主党が議員同士の自由討論を行いましたが、党内で意見が統一できるかは見通しが立たない状況です(※1:10月28日付読売新聞http://www.yomiuri.co.jp/atmoney/news/20111028-OYT1T01088.htm)。

TPPへの参加は様々な業種に影響を及ぼしますが、今回は農業との関係について述べてみたいと思います。

TPPに参加すると農業が衰退すると危惧を抱く人もいると思いますが、TPPへの参加は逆に日本国内の農業を発展させる起爆剤になると考えています。

日本の食料自給率は、年々低下傾向にあり、2010年度は39.5%と過去2番目の低水準となり(※2:8月11日付産経新聞http://sankei.jp.msn.com/economy/news/110811/biz11081117580010-n1.htm)、安全保障の観点からも危機的状況にあるといえます。

また、9月30日のこのブログでも書きましたが、日本の農業従事者の平均年齢は約65歳と年々高齢化しており、農業は若者にとって魅力の無い産業になっています。

更に、埼玉県とほぼ同じ面積の耕作放棄地があり、年々増加しています。

この状況から、日本の農政は、年々多額の税金を投入しているにもかかわらず、思うような成果が上がっていないことを示しています。

その原因は、行き過ぎた保護政策であると、同じく先のこのブログで述べました。

どんな産業も保護するから弱くなるのであり、手厚すぎる保護下では、競争力を失い生産性も向上しないのは自明の理です。

農業は福祉ではないのです。

そして、自助努力で活路を見出す人がいる一方で、収入が増えずにますます保護に頼るという悪循環に陥るのです。過剰な保護は前向きに農業をやろうとしている人の意欲を削いでしまいます。

実際に米国では、以前一定量の作物を作っていれば保障がもらえる制度を導入しましたが、一気に品質と生産力が落ちたため、慌ててその制度をやめたところ、またもとの品質と生産力に戻ったといったことがありました。

実は日本の農業は世界的に見ても技術力が高い分野がいくつもあり、品質の高い農作物を安定的に生産する最先端農業が普及すれば、国内で必要な量の3倍の農作物を作れるといわれています。

農業の法人化や野菜工場などで生産性が高まると、市場を海外に求めることも可能となります。

TPPに参加すれば、海外の安い農作物に競争で負けてしまうという人もいますが、自由貿易は技術力や製品開発力こそが勝負です。

日本の農業は品質のいいものを安く生産して世界中に輸出することで確実に生き残れます。

世界の人口が70億人を突破しようとしつつある今、ますます農業の重要性が世界的に高まっています。

よって、農業分野に関しては激変緩和措置を取りながらTTPに参加して、日本の農業を強化する機会として積極的に利用すべきです。

今、政治がなすべきは、目の前の有権者の票のために保護を手厚くすることではありません。