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2011/10/12【一刻も早くサイバー戦担当部隊の創設を】

先の日本の防衛関連企業に対するサイバー攻撃で、10月10日付の読売新聞(※2)によると、三菱重工のコンピューターが少なくとも50種類以上のウイルスに感染していることが分かったとのことです。

防衛関連企業としての危機管理の甘さが露呈した形ですが、こうしたサイバー攻撃に対する認識の低さは日本政府も同様です。

10月7日にようやく政府は「情報セキュリティ政策会議」を首相官邸で開き、官民が連携してサイバー攻撃の被害防止の対策に乗り出すことを決めたばかりです。

現代の戦争は、戦術的にも戦略的にも、如何に戦力を連携して運用するかが雌雄を決する肝となります。

例えば米軍は、コンピュータシステムとそのネットワークの集合体であるともいえ、そこを攻撃されると、米軍はたちまち機能不全に陥ります。

従って、米軍ではサイバー空間を陸海空・宇宙に次ぐ「第五の戦場」と位置付けてその強化に力を入れて取り組んでいます。

一方、中国軍も、今回の日本の防衛関連企業に対するサイバー攻撃の発信源との見方もありますが、米軍と同じくサイバー攻撃にたいへん力を注いています。

また、サイバー空間は、軍事的な価値のみならず、社会インフラとしての重要性もますます高まっており、電気や水道などと同様にテロ攻撃などによるサイバー空間の麻痺は、大きな社会混乱をもたらします。

対する日本は、サイバー空間の防衛に関しては、米国に比べて10年も20年も遅れています。

米国は、財政赤字に伴う軍事費の削減にもかかわらず、今後もサイバー攻撃への対応予算は増額すると国防副長官が述べています。

しかし、日本は、9月30日の防衛相による2012年度の概算要求で、サイバー攻撃への防衛に関しては、たった2億円を計上したのみです(※2)。

これでは対応があまりにも不十分です。

防衛産業が本格的サイバー攻撃を受けた今、日本は国家としてサイバー空間の防衛に関して全面的に対策を講じていく必要があります。

具体的には、一刻も早く自衛隊内にサイバー戦担当部隊を創設すると共に、警察と連携を強化していくことが必要です。

自分は防衛に関しては素人であると言い放った防衛大臣に、ことの重大さが理解できているかたいへん心配です。

※1:10月10日付の読売新聞http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20111009-OYT1T00821.htm

※2:9月30日付の読売新聞http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20110930-OYT1T01277.htm