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2011/06/30 【いじめ事案―県教委が第三者調査委】

【いじめ事案―県教委が第三者調査委】2011年6月28日 東京より

桐生市立新里東小学校の女子児童が自殺し、遺族が「いじめが原因」と訴えている問題を受け、県教育委員会は二十七日、県内の公立学校全体を対象に、深刻ないじめ事案を調査・分析するための第三者機関「県公立学校いじめ問題等調査委員会」を設置した、と発表した。調査委は二十二日に発足。

委員は弁護士や医療関係者、教育関係者、保護者代表の計五人で構成する。

県内の公立小中学校や高校、中等教育学校、特別支援学校でいじめが原因とみられる自殺などの事案があった場合に会議を開く。

市町村立学校の場合は、県内の各市町村教委の依頼に基づき事案を審査する。

桐生市の問題については、市の第三者調査委の審議内容が公開されず情報公開への姿勢が問題視されたが、県教委の調査委も会議は非公開。会議の内容は、調査委が公開できる範囲を決める。

県教委総務課は「(民事訴訟で係争中の)桐生の問題は調査の対象外」と説明。

福島金夫県教育長は「市町村レベルのいじめ調査を遺族が不服とした場合、市町村教委の依頼に基づいて再調査を実施することはあり得る」との考えを示した。

引用、以上。

「桐生市の問題」とは、群馬県桐生市の市立新里東小6年の女子児童が自宅で自殺をし、父親が「学校での同級生のいじめが原因」と訴えている事件です。

女児は同級生に「臭い。あっち行け」と言われたり、無視されるようになり、担任に相談した後に収まりましたが、6年になると再び無視などをされていました。

父親は「6年になってから学校側に10回以上相談したが、具体的な解決策は示されなかった」と話しており、女児は孤立を深め、学校も休みがちになっていました。

新里東小の校長は「(一部の同級生との関係が)良くない状態にあったのは間違いないが、いじめという認識はなかった。明子さんに嫌なことはないか話を聞くこともあったが『特にない』と答えていた」といじめの事実を否定しています。

調査委員会は今年3月29日に報告書の概要を公表しましたが、全文については記者会見では明言を避け、遺族に対しても、結論部分の要約しか通知していません。

報告書は「いじめが自殺の原因とは断定できない。家庭環境にも要因がある」と結論づける一方、そのような結論に至った根拠については「児童や遺族のプライバシーや個人情報」として明らかにしていません。

記者会見では、「いじめが原因とは断定できない」などと判断した根拠についての質問が相次ぎましたが、調査委員会側は「裁判中なのでコメントは差し控える」と繰り返すのみです。

調査委は、遺族側への聴き取りなどは一切実施しておらず、遺族側への調査を避けながら「家庭環境にも要因がある」と結論づけたのは、きわめて不透明です。

この調査結果は「家庭環境にも要因がある。いじめが原因とは認めたくない」という結論が先にあったのではないかと思われます。「家庭環境の要因」について、具体的な根拠がないからです。

今回の件を受け、深刻ないじめ事案を調査・分析するための第三者機関を設ける必要はありますが、調査結果が非公開なままであれば、これまでと同じく、いじめ事件の真相が闇から闇へと隠蔽されるだけのことです。

第三者機関の設置と共に、情報を公開して透明性を増し、いじめ事案の真相を明らかにすると共に、徹底的な再発防止策を行うべきです。