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2010/12/27 露大統領「北方四島すべてロシア領」 自由経済圏の創設提案

■露大統領「北方四島すべてロシア領」 自由経済圏の創設提案(2010.12.24 産経より)

ロシアのメドベージェフ大統領は24日、政府系テレビ3局のインタビュー生番組に出演し、日本の北方四島を指す南クリール諸島は「全てロシア領だ」と述べた。また、日本は「ロシアとクリール諸島(千島列島と北方四島)に関する理解を変えるべきだ」とし、北方領土に日本との「自由経済圏」や「自由貿易圏」を創設することを提案した。

 ロシアが日本との領土交渉には応じず、四島での共同経済活動を持ちかけて主権問題を棚上げする思惑であることが鮮明になった。

 メドベージェフ大統領は11月1日、旧ソ連・ロシアの国家指導者として初めて国後島を訪問した。この際、日ソ共同宣言(1956年)が平和条約締結後に引き渡すとした色丹島や歯舞群島は訪れなかったため、一部には大統領が同宣言に基づく「2島引き渡し」での決着を意識しているとの観測も出ていた。

 しかし、24日に一斉放映された番組では、クリール諸島の中でも初めて北方四島(南クリール諸島)を特定し、「全ての島はロシア領だ」と言明。「われわれは必要な決定をし、クリールを開発せねばならない」と述べ、自身や閣僚の北方領土訪問を正当化した。

 一方、メドベージェフ大統領が北方領土の共同経済活動に直接言及したのも初めて。日本外交筋によると、具体的内容は不明ながら、北方四島について「自由経済圏」や「自由貿易圏」との表現を使った露大統領は過去にいないとみられる。

 メドベージェフ大統領は「(北方領土に)特別なミクロ環境ができ、人々が働きに来る。日本国民もやって来て、歴史的な場所を訪れたり働いたりする」と構想を語る一方、日本との経済協力は「われわれがクリール諸島を放棄しなければならないということを意味しない」と述べた。

 共同経済活動をめぐっては1998年、当時のエリツィン大統領と小渕恵三首相の合意により、両国間の国境画定委員会と並んで共同経済活動委員会が設けられたことがある。ただ、共同経済活動には常に四島の主権をめぐる問題がつきまとい、「法的立場を侵害しない形での共同活動」を見いだせないまま委員会の活動は頓挫した。*...............*

以上、ロシアのメドベージェフ大統領は、次期大統領選を見据えて強いロシアを国民にアピールしたいのだろう。「北方四島すべてロシア領」との主張をしたうえ、更に北方四島の経済協力までさせようとしている。

先日の尖閣諸島での中国漁船衝突事件で中国人船長の釈放は那覇地検の判断に委ね、衝突ビデオ流出は、海上保安庁の責任として、こうした国防・安全保障に対してなんらリーダーシップを示せない民主党政権の足下を見て、民主党政権のうちに強気に出て国益を確保しようとするメドベージェフ大統領の魂胆も見えてくる。

西からは、中国、北からは、ロシアが日本の国益を奪おうとしている。本来、ロシアの言い分を受け入れることは出来ないが、現在の日本の立場から外交・安全保障を考えるとき、中国とロシアの二つの強国を敵にまわす事は、日本の命取りになりかねない。

北方領土返還に向けた粘り強い交渉を進めながら、中国の覇権主義を止めるためには、ロシアとは経済交流の深化も含めて友好なな関係を築いておく必要がある。