政府は、経済財政運営の基本方針であるいわゆる「骨太の方針」の原案を明らかにしました。
主な内容は、就職氷河期世代への支援、消費増税の予定通りの実施、最低賃金の早期1千円達成など、保守政党が本来掲げるべき政策ではないように見えるものばかりです。
中でも、最低賃金を1千円にするという政策には注意が必要です。
特に、中小零細企業では、政府の言う緩やかな景気回復の恩恵にあずかれないまま、人手不足により既に人件費が上昇傾向にあります。
こうした中で、消費増税が実行されれば景気が下降することは確実なので、企業にとってはダブルパンチになります。
ですから、政府がいくら最低賃金を引き上げたとしても、企業が賃金を引き上げることができる環境を作らなければ、現実とはかけ離れたものになります。
では、企業が賃金を引き上げることができる環境とは何か。
それは多くの企業にとって目に見える形での景気回復です。
その景気回復の最大の足かせ要因が、消費増税です。
つまり「骨太の方針」には、互いに相反する政策が盛り込まれているということになります。
景気回復の実効性ある具体策を示さないまま、最低賃金だけを引き上げることは、野党の選挙公約と何ら変わりがないのではないでしょか。