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2019/06/10【香港で悪法が成立してしまうのか】

 香港で犯罪容疑者を中国本土に引き渡すことを可能とする法律案に反対する大規模なデモが行われました。

 香港は一国二制度のもと中国に返還されたので、現在は犯罪容疑者を中国に引き渡す法律がありません。

 今回、問題となっている法律案は、「逃亡犯条例」の改正案です。

 これは、台湾で起きた香港人の殺人事件がきっかけです。

 台湾と香港の間に「犯人引渡条約」が無いため、台湾で犯罪を犯した香港人を台湾に引き渡すために審議が始まったものです。

 ですから、香港からの引き渡し先対象を台湾だけに限ってもよさそうなものですが、なぜか中国への引き渡しも含まれています。

 この台湾での事件を利用して、中国政府が自国にとって都合の良い法律を香港に作らせようとしていることは想像に難くありません。

 香港の立法会は、中国政府に批判的な人物の立候補が制限されているため、事実上、親中派の議員が多数を占めています。

 ですから、この法律が制定されれば、中国政府がでっち上げたい台湾人に容疑をかけて、犯罪者として中国に引き渡させることも可能になります。

 更には、中国では司法が独立しておらず、裁判も非公開で行われることが多く、恣意的な判決が日常的に行われていると言われています。

 ですから、この法律が成立すれば、香港の国民が中国共産党政府に対して声を上げることも一段と難しくなり、一国二制度の形骸化が一層進むことになります。

 これは香港が有する「自由・民主・信仰」という価値観の危機につながります。

 そして、中国は台湾を統一する手段として、香港を例に出して、台湾に一国二制度の適用をチラつかせています。

 しかし、今回の香港での一連の出来事を見ても、中国政府の約束は嘘であることが分かります。

 やはり、台湾の「自由・民主・信仰」を守るためにも、中国に対して「台湾は独立国である」と主張し続けるべきです。