米中貿易戦争は解決の糸口がつかめておらず、世界経済に与える影響が懸念されています。
これに対し安倍首相は、米中の仲介役を果たしたいという考えを示しています(※)。
ただ、トランプ大統領には、「中国の覇権拡大の原資となっている貿易黒字を削減」する狙いがあり、今や全体主義国家とも言える中国の台頭を阻止するという点では正しいと言えます。
ですから、一時的に世界経済にマイナスの影響があったとしても、世界の「自由・民主・信仰」といった価値観を守るためには、トランプ大統領を後押しすべきと考えます。
しかし、今回、安倍首相が米中の仲介を買って出るということは、実際に仲介役を果たせるかは別として、トランプ大統領の戦略を中途半端にし、中国の覇権拡大の片棒を担ぐことにもなりかねません。
思い起こせば、30年前の天安門事件で西側諸国は一斉に中国への制裁を行いましたが、その制裁解除を真っ先に働きかけたのは日本政府でした。
その後、中国は飛躍的に経済と軍事が成長したものの、中国の民主化は進むどころか後退してしまいました。
今回、日本が取るべき道は、仲介などではなく、むしろ米国に追従して、不公平な貿易慣行を改めるよう促したり、野放し状態とも言われる日本国内での産業スパイを止めるよう求めたりして、中国をけん制することではないでしょうか。
日本は、中国に対して「自由・民主・信仰」の価値観を打ち込み民主化を促さなければなりません。
それ無しに経済的な恩恵を与えるという轍を再び踏んではなりません。
※:5月30日付NHKニュースhttp://www3.nhk.or.jp/news/html/20190530/k10011934991000.html