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2019/06/02【開発優先度の高い防衛装備は】

 「中国は密かに、日本と台湾の攻撃演習を行っていた」とするショッキングな記事がありました(※)。

 中国は、かねてより台湾に対しては武力による統一も排除しないと公言していましたが、それのみならず、中国の第一・第二列島線戦略を踏まえれば、日本への攻撃を想定しているようです。

 その中国が、台湾や日本を攻撃する際の主力、あるいは切り札と考えているのが、弾道ミサイルです。

 中国は、日本を攻撃できる弾道ミサイルをすでに数百発配備しているとされ、その多くは核弾頭を搭載可能です。

 日本は、イージス艦を配備したり、今後、イージス・アショアを配備したりするなどして、弾道ミサイル迎撃態勢を整備しつつありますが、これらの迎撃システムは、同時に多数のミサイルを発射する「飽和攻撃」には対処できないという致命的な欠点があります。

 中国は、有事の際、「どのような事態に陥ろうとも、いざとなれば弾道ミサイルで日本を屈服させられる」という自信を持っていると考えられます。

 この自信は、米国抜きにして、日本単独を相手にした場合、より強固なものとなるでしょう。

 ですから、現在の日本にとって、中国本土を攻撃できる能力を有している米国と同盟関係を維持することは、抑止力を確保し平和を守るために死活的に重要なのです。

 その上で、日本としても、現在の弾道ミサイル迎撃システムの欠点を補う兵器の開発を急ぐ必要があります。

 具体的に挙げれば、優先順位の高い兵器の1つがレーザー兵器です。

 従来、レーザー兵器を大気圏内で運用することは、散乱や減衰などの影響で、長らく現実的ではないと考えられてきました。

 しかし、近年、技術の進歩により、実用的なレーザー兵器が出現しつつあります。

 レーザー兵器が実現すれば、弾道ミサイルといった高速で移動する多数の目標に対しても、容易に対処できるため、まさにゲームチェンジャーと言える兵器となります。

 日本も、長年、基礎的な研究は続けているようですが、米中露などに比べると予算規模が小さく、実用化の目途すら立っていないというのが実情です。

 
 しかし、国防の根幹を左右するような兵器の開発は、国を挙げて後押しすべきではないでしょうか。

 こうした兵器の開発こそ、国防債を発行するなどして、数兆円規模で投資することも考慮すべきと考えます。

 中国の弾道ミサイルによる飽和攻撃を撃退できる体制を整えることができれば、日本の安全保障は飛躍的に強固なものとなるでしょう。

 ※:5月29日付The Liberty Web  https://the-liberty.com/article.php?item_id=15795