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2019/06/01【日露平和条約締結の実現を】

 日露防衛相会談で、ロシア側は日本が配備を進めている「イージス・アショア」について改めて懸念を表明しました。

 イージス・アショアは、イージス艦に搭載している弾道ミサイル迎撃システムを陸上配備用に転用したものです。

 ロシア側は、イージス・アショアに巡航ミサイルを装備すれば、防衛目的だけでなく、攻撃目的にも使用できるとしています。

 確かに、イージス艦のイージスシステムは、弾道ミサイル迎撃用のミサイルだけでなく、陸上目標攻撃用の巡航ミサイル、航空機迎撃用の中短距離対空ミサイル、潜水艦攻撃用のミサイルなどを運用できます。

 ですから、イージス・アショアはそのイージスシステムを転用しているので、必要な改修を施せば、巡航ミサイルも発射可能となるはずです。

 しかし、ロシアは、海上自衛隊がイージス護衛艦を導入した際は、ここまで強い反発をしませんでした。

 海自のイージス護衛艦は、巡航ミサイルを装備していませんが、改修を施せば巡航ミサイルを発射可能となるのはイージス・アショアの場合と同じであり、軍事的には、自由に動き回れるイージス護衛艦のほうがロシアにとってはより高い脅威となるはずです。

 それにもかかわらず、イージス・アショアのほうを問題視するというのは、軍事的と言うよりは政治的な目的があることが明らかです。

 やはり、北方領土交渉と平和条約締結交渉に向けての駆け引きと考えられます。

 ロシア側は、四島返還という原則的な立場に固執する日本に業を煮やしているのかもしれません。

 しかし、日本がいくら原則的な立場に固執したところで、ロシア側が一方的に譲歩することは考えにくい状況です。

 プーチン大統領は、以前に無条件での平和条約の締結に言及したこともあり、ある意味で千載一遇のチャンスと言えます。

 このままでは、北方領土交渉と平和条約締結交渉が共に進展がないままという可能性があり、こうした事態は何としても避けるべきですから、このチャンスを生かして、日本はロシアの立場を見据えた上で柔軟に交渉を進める必要があります。

 ロシアへの経済制裁解除、ロシアのG8復帰を日本が取り次ぐなどして、ロシアの譲歩を引き出すとともに、まずは日露平和条約の締結を急ぐべきではないでしょうか。

 日露の連携こそが、対中国を考える上でキーポイントの1つだからです。