米国は、航空自衛隊のステルス戦闘機「F-35」へ搭載する米国製の空対空ミサイル160発を、日本に対して売却すると承認しました(※)。
航空自衛隊では、米国製の機体であっても、搭載する空対空ミサイルを国内で開発した国産品への置き換えを進めてきました。
当然、今回調達する米国製の空対空ミサイルに相当する国産品も存在するものの、F-35には適合しないため、デフォルトで設定されている米国製を調達せざるを得なかったということのようです。
もちろん日本が望み米国が承認すれば、F-35を改修して日本製を搭載することも可能でしょうが、F-35の開発に参加しなった日本にとっては手間と時間と費用が掛かります。
ですから、F-35の導入初期段階においては、米国製を導入することは仕方のない判断と言えます。
しかし、同じ機能を有する複数の兵器を持つことは、攻撃の選択肢が増えるメリットがあるものの、通常は供給や管理が難しくなるため、可能であれば避けたい話です。
しかも、F-35はその構成要素の多くがブラックボックス化されており、日本企業はほとんど製造に関与できないとされます。
国内企業にとっては、「機体の製造に関与できないのであれば、せめて搭載兵器は国産で」との思いがあるでしょうが、そもそも米国が機体改修を承認しない可能性もあります。
このままでは、F-35の導入という大型事業に、日本企業がほとんど参画できないことになります。
航空機の製造、特に戦闘機の製造は、その国の技術の粋を集めなければ不可能ですから、米国からの調達が続けば、日本の航空産業の発展は望めません。
ですから、改めてF-2戦闘機の後継とされる機体の開発は、一日も早く日本主体で遂行し、航空産業を日本の次世代の主力産業に育てる努力をすべきであると考えます。
※:5月18日付朝日新聞http://www.asahi.com/articles/ASM5L2CS4M5LUHBI004.html