介護分野は人手不足が深刻な業種の1つです。
必要な職員の人数を確保できないために、受け入れ人数を制限したり、土日の受け入れを取り止めたりする介護施設が相次いでいるとも聞きます。
こうした中、自民党の議員らが介護現場の事態を把握するため視察を行ったのとのことです。
視察の結果、職員の負担を軽減するため、自治体への提出書類の簡素化やペーパーレス化の促進を目指すということになったようです(※)。
確かに介護現場では、行った内容を細かく記録に残すことになっており、業務時間の内、少なくない時間を記録の作成に費やさざるを得ないため、介護職員の負担になっていることは事実です。
しかも、書類作成業務が本来の介護時間を圧迫しているのであれば、介護サービスを受ける側にとっても不利益となります。
ですから、書類作成業務が少しでも軽減できれば、職員の負担が減ることは事実ですし、介護サービス自体の向上にも資するかもしれません。
しかし、自治体へ提出する書類が減ったところで、介護現場での人手不足がどれだけ解消するのか疑問です。
やはり、もっと抜本的な対策が必要ではないでしょうか。
日本の介護サービスは、要介護者本人やその家族が望めば、支援する機関が対応に当たってくれるので、非常にありがたい制度です。
介護は、とても苦労の多い行為ですから、本人や家族の負担を減らすために積極的に利用しても構わないと思います。
ただ、現行の制度では、公的な介護サービスに極力頼らずに、家族が苦労して介護しても、本人やその家族にはほとんどインセンティブがありません。
もちろん、介護サービスを利用するかしないかは、それぞれ個人の事情があると思うので、一律に制限を設ける必要は無いと思いますが、公的なサービスに頼らずに努力している人には何らかのインセンティブを働かせるのも1つの方法ではないでしょうか。
多世代同居や近居も、介護負担を減らす一つの解決法となり得ますし、そうした家庭の住民税等を減税するのも手段の1つかもしれません。
また、移民による介護人材確保も喫緊の課題です。
こうした柔軟な発想で、介護制度の抜本的な見直しを図らなければ、人手不足だけでなく、社会保障費全体の増大に対しても対応できないのではないでしょうか。
※:4月15日付NHKニュースhttp://www3.nhk.or.jp/news/html/20190415/k10011884931000.html