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2019/03/19【移設反対に利用されていないか】

 沖縄で希少な海獣「ジュゴン」の死骸が見つかりました。

 沖縄周辺で生息が確認されているジュゴンの数は3頭とされ、今回、見つかったジュゴンはその内の1頭と見られています。

 普天間基地の移設先である辺野古地区の近海もジュゴンの生息域の一部と見られ、移設工事で生息域に影響が出るとの声もあることから、基地移設反対派からはジュゴンが移設反対のシンボル的な存在となっています。

 実際、19日に安倍首相と会談した沖縄県の玉城知事も、今回見つかったジュゴンを引き合いに出して移設工事の中止を求めています。

 しかし、今回見つかった死骸は、太平洋に面する辺野古地区とは反対の東シナ海側ですから、移設工事との関連性が薄いのは明らかです。

 それでも関連性がゼロではないというのであれば、辺野古地区だけでなく、県内の全ての海洋埋め立て工事の中止を求めるのが筋です。
 

 そもそも、沖縄のジュゴンは、移設工事が始まる何年も前から絶滅に近い状態にあり、移設工事が原因で数が減ったのではないことは明らかです。

 また、ジュゴンの生息をきれいな環境のバロメーターと考えることもできますが、もともと沖縄はジュゴンの生息域としては北限ですので、ジュゴンという種にしてみれば、決して完璧な場所という訳ではありません。
 

 ジュゴンに限らず希少な海洋生物を保護することは大切な行為ですが、広大な海域を生活圏とするジュゴンの一部の餌場に影響を与えるからといって、国家全体の安全保障を危険にさらしていいはずはありません。
 

 沖縄県内では、辺野古地区以外に現在も大規模なものを含め海洋埋め立て工事が進んでいますが、ジュゴンを引き合いに沖縄県が工事の中止を求めているのは辺野古だけです。

 これでは、移設反対のためにジュゴンが利用されているように見えてしまいます。