米軍の高官が、グーグルの中国での事業活動について「間接的に中国人民解放軍に恩恵を与えている」との認識を示しました(※)。
これは、中国軍が民間の高い技術を積極的に軍事転用していることを念頭に、高い技術を持つ企業が中国で事業を行う際に、その技術が中国軍に盗用される懸念があることを言っているものと思われます。
また、同高官は、米国に本拠があるハイテク企業が国防総省との共同事業を拒む一方で、中国のような地政学的な競争相手で事業を進めているなどと皮肉も込めています。
こうしたことは日本にとっても耳の痛い話です。
日本の大学や学会などの研究機関は、軍事に関わる研究は行わないとして、防衛省との研究を拒む一方で、中国の企業や団体との研究開発は積極的に行っています。
日本側としては、共同研究の相手が中国軍とどのような繋がりがあるのか証明できないにもかかわらず、「研究成果を他の目的には使用しない」などと覚書を交わしているので問題ないとの認識のようです。
しかし、スパイがあらかじめ「軍事転用します」というはずなどありません。
得た情報を、取り決めに反して市場に流通する製品やサービスに利用すれば、クレームを入れることができますが、軍事転用されれば、その事実を確認する術は無いのです。
しかも、中国では、国防動員法により、有事の際、全ての国民や団体は共産党の指示のもとに協力しなければならないとあります。
つまり、中国では軍事転用する法的根拠もあることを知るべきではないでしょうか。
そもそも軍事技術とそうでない技術の境界は曖昧です。
それでも日本の学術界が、軍事研究を行わないということにこだわるのであれば、軍事転用される可能性が否定できない中国企業や団体との共同研究は行わないと宣言すべきではないでしょうか。
そうでなければ、自国の国防には協力しない一方で、他国の兵器の開発には手を貸すことになってしまいます。
※:3月17日付CNNニュースhttps://www.cnn.co.jp/usa/35134315.html