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2019/03/13【印パの交戦で見えてくるもの】

 先月、半世紀ぶりにインド・パキスタン両国の戦闘機同士の交戦があり、インド軍機が撃墜されました。

 撃墜されたインド軍機は、「MiG-21」という旧ソ連で60年以上も前に開発が始まった機体で、インドがその発展型の機体を導入し、更に近代化を行って使用していたものですが、ひいき目に言っても旧式の機体です。
 

 一方、インド軍機を撃墜したパキスタン軍機は、機種が不明でしたが、どうやら米国製の「F-16」である可能性が浮上しています。

 インド側は、パキスタンが取り決めに違反してインドに対してF-16を使用した疑いがあるとして、米国に調査を要請している模様です(※)。

 なお、取り決めの具体的な内容は不明です。

 

 F-16もステルス機などと比べると最新鋭とは言えない機体ですが、開発初期の機体と現在生産している機体では、外見はほぼ同じでも、能力にはたいへん大きな差があります。

 パキスタンにも、テロとの戦いに協力した見返りとして、米国が比較的能力の高いバージョンのF-16を供与しています。

 今回の交戦では、F-16はMiG-21に対して優位であることを示しめしたことになります。
 

 パキスタンと対峙するインドにとっては、このF-16が脅威であることは間違いなく、インドとの関係を強化したい米国も、何らかの条件を付けてパキスタンに供与した可能性があり、複雑な国際関係の一端を覗かせています。
 

 ただ、パキスタンは別の戦闘機を中国と共同開発するなど、軍事面で中国と強い繋がりがあり、F-16の技術情報が中国に流出している懸念が拭えません。
 

 中国は、空軍力の近代化を急速に進めているとはいえ、未だにMiG-21に相当する「J-7」を多数配備しています。

 台湾にとっては、中国の新鋭戦闘機への対処を迫られている一方で、当面はJ-7への対応もおろそかにできない事情があります。

 台湾空軍の主力の1つは初期型のF-16ですから、パキスタンのF-16が台湾海峡の軍事バランスに悪影響を及ぼしていないか心配されます。

 

 こうした心配を払拭するためには、改めて、台湾に最新の機体を供与することが望まれます。

 ※:3月10日付CNNニュースhttps://www.cnn.co.jp/world/35133946.html