中国の全人代が開幕し、今年の経済成長目標を6.0~6.5%と発表しました。
この数字は昨年を下回るもので、中国経済の減速傾向を一層鮮明に物語っています。
一方で、中国の国防費は7.5%増と、伸び率は鈍化傾向にあるものの、依然として高い水準を維持しています。
日本円に換算すると19兆円余りとなり、日本の来年度の防衛費が5兆円余りですから、3倍以上の開きがあることになります。
これに対し日本政府は、中国に「国防政策の透明性向上を求めていく」としていますが、こうした日本政府の反応は毎年同じです。
確かに、そもそも中国政府が発表する統計値は日本の統計不正問題など比較にならないほど恣意的に改ざんされていると言われていますし、国防費には研究費や外国からの兵器購入費、それに基地の造成費などが含まれていないとされ、実際の額はこの数倍との指摘もあります。
ですから、透明性の確保を求めることで、中国の軍拡の意図を明らかにし、他国に脅威を与えるような軍拡に歯止めをかけたいという思惑も理解できます。
しかし、透明性の確保を求めるだけでいいのでしょうか。
攻撃的な兵器を増強し、海外での展開能力を高める中国に対し、少なくとも懸念を示すべきではないでしょうか。
もっとも、透明性の確保を求めたり、軍拡に懸念を示したりしたところで、中国が方針を変えるはずはありません。
やはり軍拡の原資を断つ戦略を取らなければなりません。
その最も効果的な戦略の1つが、トランプ大統領が進める中国との貿易戦争です。
経済が減速しているにもかかわらず大幅な軍拡を進めれば、必ずどこかに歪みが生じるものです。
日本は、米国の貿易戦争に同調することで、将来的な中国の民主化を手助け促していくべきではないでしょうか。