沖縄は昔、琉球という独立国で、今とは違ってとてもいい時代だったという旨の主張をテレビ番組などで見聞きします。
確かに、尚氏が沖縄を統一して約450年間に渡り琉球王朝が続き、その間、中国などとの中継貿易により王族や商人などは潤い、栄華を極めました。
しかし、沖縄の一般民衆にとって琉球王朝時代は本当にいい時代だったのでしょうか。
ジャーナリストの恵隆之介氏によると、必ずしも幸せな時代では無かったとしています(※)。
当時の平民の多くは農民であり、農民の土地私有は認められておらず、租税が八公二民(本土は六公四民または五公五民)と重税に苦しめられていたとのことです。
また、地割制が敷かれ、一定期間ごとに強制的に転居させられ、その間、地割をまたいでの自由な移動も禁止されていたとのことです。
更に、農民の知識向上に繋がる識字率は零に近かったとのことです。
このように農民は王朝により徹底的に管理されていたのです。
今に伝わる優雅な琉球文化も、その多くが民衆の犠牲の上に成り立った宮廷文化であったわけです。
しかも、不満を募らせた民衆による一揆が続発する一方で、琉球王朝はその成立の過程で、八重山諸島や奄美諸島に武力侵攻し併合しており、必ずしも平和の島でもありませんでした。
にもかかわらず、こうした歴史的事実を知る人は多くありません。
あたかも沖縄が琉球であった時代が理想の時代であったかのように言われることさえあります。
琉球王朝を美化しすぎる背景として、左翼勢力を中心とした政治的な意図が見え隠れするので気を付ける必要があります。
※:恵隆之介著『誰の語れなかった沖縄の真実』ワック株式会社