トヨタ自動車は、往年の名スポーツカー「スープラ」の名を冠した車を17年ぶりに販売します。
バブル崩壊を経て、各自動車メーカーでは車種が大幅に整理され、スポーツカーは希少な車種になってしまったので、発売を心待ちにしているファンも多いのではないでしょうか。
スポーツカーは、量販が見込めませんが、そのメーカーにとっては、技術力の高さだけでなく自動車造りの哲学をも示す象徴的な存在です。
しかし、今回のスープラは、独自動車大手BMWと共同開発され、車の基本的な構成要素はBMWなどドイツメーカー製が基になっています。
もちろん、開発に当たってはトヨタの意見が反映され、エンジンなどにはトヨタ独自の改良が施されていると伝えられていますが、国産スポーツカーファンにとっては一抹の寂しさが感じられてしまいます。
なぜなら、スープラがどんなに素晴らしい車であっても、それはBMWの技術があってのことと思われてしまいかねないからです。
トヨタは9年前に独自の超高性能スポーツカー「LFA」を限定発売して技術力の高さを世界に知らしめましたが、現在の技術で量産型の高性能スポーツカーを営業的に成功させるには、全ての構成要素を自社で賄うことが難しいのかもしれません。
ただ、日産の「GT-R」、ホンダの「NSX」と同様に、顧客の間には〝トヨタにも″という思いはあるのではないでしょうか。
一方、トヨタは昨年末時点の決算で、北米の販売では伸び悩み、中国への依存度が大きくなっている事業構造が浮き彫りになっています。
中国市場への依存度が大きければ大きいほど、全体主義とも言える一党独裁国家である中国政府の意を汲まなければならない状況が増えてしまいます。
日本を代表する自動車メーカーとして、トヨタ自動車にも〝日本の侍スピリット”のような気概を示してほしいと願うのは私だけではないはずです。