トランプ大統領は注目されていた一般教書演説を行い、内政面で野党民主党に協力を呼び掛ける一方で、国境の壁の建設では一歩も譲らない姿勢を改めて示しました。
これに対し、民主党側が反対演説を行い、「米国を強くしているのは壁ではなく、移民の存在だ」としてトランプ大統領を批判しました(※)。
しかし、トランプ大統領が問題視しているのは、あくまでも‟不法”移民であって、移民そのものを否定している訳ではありません。
不法移民の流入については、民主党も取り締まりの必要性を認めている訳ですから、目的ではなく‟手段が対立の原因”になっていることが分かります。
しかも、民主党はトランプ大統領を追い詰めるために政治的に反対しているように見えます。
その意味で、対立を作り出しているのはトランプ大統領だけではなく、民主党にも責任があると言えます。
しかし、日本では、問題を作り出しているのはトランプ大統領のほうであるかのような報道が目立ちます。
米メディアの多くが反トランプということもあるのかもしれませんが、あたかも「トランプ大統領VS米国民」であったり、民主党に正義がある」とするような報道さえあります。
しかし、トランプ大統領の支持率は40%前後で推移しています。
安倍首相の支持率が40%台後半ですから、そう大きく変わらないとも言えます。
トランプ大統領に対する一定の支持があるわけですから、トランプ大統領に譲歩する気配の無い民主党も、米国を分断する要因になっているのではないでしょうか。
このように混乱する米国の政治に対し、オバマ大統領の時代を懐かしむ向きもありますが、オバマ大統領が示した方向にそのまま進んでいたとしたら、米国は超大国ではなくなっているはずです。
それは、日本の安全保障にとっても好ましいことではありません。
※:2月6日付NHKニュースhttp://www3.nhk.or.jp/news/html/20190206/k10011805931000.html