1月
09

2019/01/09【放射線不安を解消する努力こそ必要】

 東京大学の名誉教授らがイギリスの学術誌に発表した福島第一原発事故に関する論文で、住民の被ばく量を3分の1程度に過小評価していたことが分かったと報道されました(※)。

 指定を受けた名誉教授らは、意図的な誤りではないとしながらも、論文の修正の手続きに入ったとのことです。

 

 こうした専門的な論文の誤りを一般のマスコミが伝えるのは稀ですから、原発事故被害に対する関心の高さが伺われます。

 ただ、この報道から実際の被ばく量が論文の3倍だったと聞いて、健康被害が心配になる人もいるのではないでしょうか。

 しかし、今回の論文では、生涯の平均的な被ばく量を18ミリシーベルト以下としていたものが、実際は約3倍の50~60ミリシーベルトだったということです。

 国連科学委員会や世界保健機関などは、年間で100ミリシーベルト以下では人体への影響が認められないとしているので、訂正後の値でも健康被害が懸念される値からは十分小さいことが分かります。
 

 今回の報道も、見方によっては不安を煽っているかのように感じられます。

 論文で具体的な数値に誤りが見つかったことは、科学者として素直に反省すべきだと思いますが、数値に誤りがあったとしても、私たちの生活に影響がない点で変わりがないので、ことさら強調する必要もないのではないでしょうか。

 むしろ放射線に関するいらぬ不安を解消する努力こそ必要だと考えます。

 ※:1月8日付NHKニュースhttp://www3.nhk.or.jp/news/html/20190108/k10011771171000.html