沖縄県の玉城知事は、辺野古地区の埋め立て工事の是非を問う県民投票の実施を目指しています。
国全体の安全保障に関わる問題について、一地方自治体の意見をどの程度反映させるかは議論の余地があるとして、辺野古移設問題に対する沖縄県の民意は先の県知事選で一応は示されている訳ですから、更に税金を投入してまで県民投票を実施することにどれほどの大義があるのか疑問です。
一方で、県民投票について、フェイクニュースによって有権者の投票行動が曲げられることを心配する声があります。
これは、先の沖縄県知事選で、玉城氏の対立候補であった国政与党が推した候補者への投票割合が、若い世代ほど多かったという調査結果が一因になっているようです。
若い世代ほどインターネットに触れる機会が多いので、インターネット上のフェイクニュースに影響されることを危惧してのことでしょう。
ただ、沖縄の場合、地元マスコミは一様に移設に反対の立場です。
政府が移設を進めるのには、中国の脅威への対処など様々な理由があるからですが、沖縄の地元紙などは辺野古移設に正当性を与えることに繋がる報道をほとんどしません。
ですから、地元紙と他の全国紙との報道内容の違いを見れば明らかですが、沖縄の地元マスコミは移設問題について偏向報道をしていると言わざるを得ません。
そうした中で、インターネットから情報を得る機会が多い若者は、賛否両論ある問題について、双方の言い分を斟酌した上で投票できたとも言えるのではないでしょうか。
若者だからといってフェイクニュースだけで判断している訳ではないはずです。
もちろん、フェイクニュースの問題については何らかの対応が必要ですが、マスコミは民主主義を担保するという重要な役割を担っているのですから、もしも一定の方向に民意を誘導しようとする報道があった場合は、自らの存在否定に繋がりかねないと思います。