二酸化炭素(CO2)の排出量を削減するために電気自動車(EV)を導入する動きが加速しています。
フランスなどでは政府が将来的にガソリン車やディーゼル車の販売を禁止する方針を示していますし、自動車関連メーカーもEV関連の投資を拡大させています。
EVは、排ガスを出さない他に、ガソリン車やディーゼル車には無い様々なメリットがあるので、その普及を妨げる理由はありません。
ただ、EVは走行時にCO2を全く排出しない訳ではないのです。
なぜなら、火力発電による電気を利用すれば、間接的にCO2を排出していることになるからです。
確かに、ガソリンエンジンの熱効率は最高で40%程度であるのに対し、火力発電所の最新のコンバインドサイクルの熱効率は60%近くに達するので、ガソリン車をEVに置き換えればCO2の排出量は減りますが、ゼロという訳ではありません。
EVのCO2排出量をゼロにするには、EVの製造過程を含め、必要な電力を太陽光などの自然エネルギーか原発によって賄う必要があります。
しかし、日本では全ての電力需要を自然エネルギーで賄うことは不可能です。
もちろん原発の再稼動を進めて原発による発電量を増やすことも解決策の一つですが、日本では原発の再稼働をめぐり難しい状況が続いています。
そこで、注目されるのが燃料電池自動車(FCV)です。
FCVは、EVよりも構造が複雑ですが、水素を使って発電するため、走行時にCO2を輩出しないうえに充電する必要もありません。
水素の製造方法や運搬方法を適正化すれば、理論上は間接的なCO2の排出量も限りなくゼロにできる可能性があります。
FCVは日本企業に強みがあるので、日本がデファクトスタンダードを握れるかもしれません。
しかしながら、トヨタ自動車がFCVを発売して4年が経ちますが、インフラ整備の遅れや高額な車体価格もあって、その普及が遅々として進まないことが悔やまれます。
もっとも、EVやFCVの導入の背景には地球温暖化があるのですが、人間の活動によって生じたCO2によって地球温暖化が引き起こされているという考え方は仮説の1つに過ぎません。
この仮説が現在の主流の考え方になっている訳ですが、仮説はあくまでも仮説ですから、仮説を前提に政策を総動員するというやり方にも注意が必要なのではないでしょうか。