韓国の駆逐艦によるレーダーロックオン事件で、海上自衛隊の「P-1」哨戒機が注目を集めました。
哨戒機は、上空から艦船や潜水艦の活動を監視し、様々な情報の収集などを行うとともに、必要に応じて攻撃を行うことができる機体です。
四方を海に囲まれ広大な領海・EEZを有する我が国にとって欠くことのできない航空機と言えます。
哨戒機として洋上監視機を含めれば世界中で多種多様な機材が運用されていますが、潜水艦を探知・攻撃できる機材は限られ、現在、量産中の機材となると更に限られます。
その限られた機材の1つがP-1です。
しかも、他国の哨戒機はほとんどが輸送機や旅客機などを改造した機体であるのに対し、P-1は、同じく国産輸送機である「C-2」と部品の共用化を図っているものの、ほぼ専用設計の機体です。
搭載される機材も、一部で外国製の装備を採用しているものの、エンジンを含め多くが国産という極めて稀な機体です。
日本の航空産業の技術の高さを示す機体であり、能力的にも米国の「P-8」哨戒機と双璧をなすと言っても過言ではないでしょう。
一方で、P-1の採用を決めているのは海自だけであり、調達数も100機を大きく下回るものと見られています。
従って、商業的には必ずしも成功しているとは言えない状況です。
海外への売り込みでも、関心を示す国があるものの、高額な機体価格がネックになるなどして、採用には至っていません。
我が国では武器輸出三原則が緩和されたのも関わらず、開発した防衛装備品については、P-1を含め商談が成立した事例を聞きません。
だからといって、安易に国産開発を断念しては、日本の次世代の基幹産業の1つとして防衛産業を発展させることはできません。
今後は、開発段階から海外への売り込みを一層想定した開発を行うなど、粘り強く国産開発に取り組み、日本の高い技術力を世界の平和と正義を守るために活用すべきと考えます。