日産自動車のカルロス・ゴーン会長の逮捕劇は、ここに来て政治的色彩を帯びてきています。
特にフランスにとっては、国を代表する企業であるルノーの経営を揺るがしかねない事態だけに、ゴーン氏本人の逮捕容疑と共に日産との提携関係がどうなるのかに注目が集まっています。
フランス政府はルノーの筆頭株主であり、そのルノーは日産の筆頭株主でもあります。
政府が民間企業の経営に関与することは、公正な競争環境を阻害する要因となりますが、実はこうした実態がフランスでは普通のことと考えられています。
そした、そうしたフランス企業は、現在の中国軍の近代化に大きく貢献しているという一面があります。
中国軍は、ソビエト製やロシア製の武器を輸入したりコピーしたりして発展してきたというイメージがありますが、実はフランス企業の技術も多く取り込んでいます。
中国海軍の最新のフリゲート艦や駆逐艦だけを取ってみても、火砲システム、中短距離対空ミサイルシステム、対艦ミサイルシステム、情報処理システム、艦載ヘリコプターなどで、フランスの技術が取り込まれており、それ無しでは軍艦として成立しないと言っても過言ではありません。
そうしたフランスの技術は、中国が盗用したと見られるものや、天安門事件前の中国脅威論が高くなかった時代に供与されたものも少なくないのですが、協力関係は現在も続いていると言われています。
フランスでは、中国の脅威がまだまだ正しく認識されていないと言わざるを得ません。
フランスは、自由・民主・信仰といった価値観を大切にしている国であるわけですから、経済的な利益を優先するのではなく、改めてそうした価値観を大切にする立場で、中国と向き合っていくのがフランスが取るべき正しい道ではないでしょうか。