安倍首相が日本の首相としては7年ぶりに中国を公式訪問し日中首脳会談に臨みました。
その席で日中の首脳は、「競争から協調へ」、「脅威ではなくパートナー」、「自由で公正な貿易体制の発展」という新たな三原則を確認したとのことです。
マスコミの反応などからは、新たな三原則で合意したことを概ね評価しているようです。
では、民主主義国家ならば当然有している3つの価値観、「自由・民主・信仰」という観点から、この合意は考えてみます。
その結果、日本が、現在の中国共産党の一党独裁体制のまま協調しパートナーとなっても、直接的には「自由・民主・信仰」の3つに繋がらないのでは明らかです。
わずかに貿易面で自由が確保されているのみです。
これは、政治体制は共産主義を堅持し、経済は自由主義を取り入れて発展を図るという現在の中国の構図そのものを追認したに過ぎないのではないでしょうか。
しかも、今回の三原則は、12年前に当時の安倍首相が中国側と合意した「戦略的互恵関係」の構築に立ち返っただけのようにも見えます。
中国は、トランプ大統領が仕掛けた貿易戦争に危機感を持っていることは間違いなく、そのために日本を自らの側に引き入れたいという思惑があると考えます。
いわば中国側の事情で日中の関係改善に動いている側面が大きいのですから、この機会に中国に対し少しでも「自由・民主・信仰」の3つ価値観を根付かせるためのアプローチを掛けるのが、民主国家である日本の役割なのではないでしょうか。