中国が開発中の大型飛行艇「AG-600」が、初めて水上からの離発着に成功し注目を集めています。
なぜ注目を集めているかというと、海上自衛隊の大型飛行艇「PS-1/US-1/US-2」などと酷似した設計が随所に見られることから、それらを参考にした可能性が高いこともありますが、もっとも大きな理由は、今後、南シナ海での作戦に投入されると見られているからです。
中国が独自に管轄権を主張する南シナ海では、中国が複数の人工島を造成していますが、他に滑走路の無い岩礁や環礁なども多いため、飛行艇を使用すれば、それらに対して物資の輸送や兵力の投射を迅速に行うことが可能となります。
また、日本はUS-2の輸出を進めようとしていますが、日本の防衛装備品は、高価である点が最大のネックになっています。
US-2もその例に漏れませんが、世界で比肩する機体が無いため、いわばニッチな存在として関心を集めていました。
しかし、AG-600が完成すれば、US-2のライバルとなるのは必至です。
ただ、海上で運用する飛行艇は、他の航空機に比べて、特別な運用ノウハウが必要となります。
日本は、戦前から多数の飛行艇を運用してきた実績があり、少数の飛行艇しか運用してこなかった中国に比べると、ソフト面で大きなアドバンテージがあると言えます。
今後、海外からの受注を勝ち取るにはそうしたハードとソフトのパッケージがカギとなりそうです。
ですから、防衛装備品に限らず日本の工業製品は、ハードの部分をデッドコピーされたとしても、ソフトの部分の管理を徹底することで優位を保つことが可能となります。
トランプ政権が、中国に貿易戦争を仕掛けた理由の一つに、中国への技術流出への懸念があります。
日本企業も中国に対する情報漏えいを十分警戒する必要がありますし、その観点から、安易に中国企業と提携事業を行うべきではないと考えます。