トランプ大統領がロシアとの「中距離核ミサイル全廃条約」を破棄する考えを明らかにしました。
トランプ大統領は、ロシアが条約に違反した新型の巡航ミサイルを開発していると指摘していますが、ロシアは反発を強めています。
ただ、今回のトランプ大統領による条約破棄の表明は、表向きはロシアが条約に違反しているからということが理由ですが、他に、核戦力を強化する中国の存在があると考えられます。
中国は、中距離核ミサイル全廃条約とは無関係なので、当然のように中距離核ミサイルを開発・配備を進めていますが、配備数などその実態は良くわかっていません。
しかも、その多くが極東の米軍基地など、日本も標的になっていると見られています。
米国は、中国に対する中距離核ミサイルを事実上、持っていません。
しかしその反対に、中国が日本やグアムを核攻撃するとなると、まさにこの中距離核ミサイルが主力となるのです。
ですから、米国が新たに巡航ミサイルなどの中距離核ミサイルを開発・配備することで中国に対する日本の抑止力も高まると考えられます。
東西冷戦時代は、核軍戦力と言えば米ソがその大半を占めていましたが、現在は、中国の存在感が増しています。
もはや、米露二国間の核軍縮には意味が無くなりつつあるのではないでしょうか。
ロシアにとっては、表向きの主敵は米国ですが、潜在的には中国も敵対国であるという認識がありますから、軍縮を進めるなら中国も巻き込みたいという本音があるはずです。
こうしたことから、今回のトランプ大統領による条約破棄の表明は、世界の軍事バランスを踏まえた思惑があると考えられますので、一考に値するのではないでしょうか。