対立していたバチカンのローマ法王庁と中国政府は、中国国内のカトリックの司教の任命について暫定的に合意したとのことです。
具体的には、中国政府が任命した司教を、ローマ法王庁が追認するということのようです。
これは、事実上、中国では共産党がローマ・カトリックを管理するということであり、ローマ法王庁が中国共産党に屈したと言えるものです。
ローマ法王庁としては、中国の巨大な人口を見据え、大局的な立場で妥協したのかもしれませんが、自らの立場を貶める行為につながりかねません。
そもそも中国共産党は唯物論の立場であり宗教とは相容れません。
そして、中国共産党の統治の根底には、如何に一党独裁を維持するかという考え方があります。
キリスト教にはイエス・キリストの信仰と愛の教えが流れています。
そして、長い歴史の中で多くの人の心の支えとなり、苦しみから救ってきたという事実があります。
ですから、中国共産党とキリスト教は、本来、どちらが普遍的のものとして上に立つべきか明らかです。
にもかかわらず、今回、法王庁が妥協したことで、中国国内のキリスト教信者に対しては、共産党のほうが上であることを示す結果になったと言えそうです。
法王庁は、今回の件に関し、「政治的なものではなく、宗教的なもの」と説明していますが、むしろ「宗教的なものではなく、政治的なもの」と説明したほうが、宗教の権威が保たれるのではないでしょうか。
信教の自由は民主主義を支えるためにも大切な権利であるということを忘れてはなりません。