ロシアが北方領土の択捉島の空港に、最新鋭の戦闘機を少なくとも3機、試験的に配備したとのことです(※)。
配備されたのは「Su-35」と見られ、ステルス機以外では世界最強の戦闘機の1つとされます。
ただ、航空基地として付帯設備が整わない空港に、最新鋭の戦闘機とは言え3機程度を配備したところで、軍事的な意味合いはそう大きくありません。
今回の配備は、むしろ日本への牽制の意味合いが大きいのではないでしょうか。
北方領土問題に固執し、ロシアの弾道ミサイルの迎撃にも使えるイージス・アショアの配備を進める日本を懸念しているからです。
しかし、ロシアは対中国を考える上で重要なパートナーですから、積極的に関係改善を図らなければなりません。
ロシアとの平和条約を結ぶためには、北方領土問題を棚上げしても構わないというくらいの強い意志が必要と思いますが、かといって、領土を軽んじたり、北の守りを疎かにしたりしてもいいという訳ではありません。
欧米の制裁にあえぐロシアに救いの手を差し伸べるべく、制裁の解除と主要国サミットG8へのロシアの復帰を、日本が働きかけるべきではないでしょうか。
こうした方向で日本が積極的な役割を果たせれば、プーチン大統領は何らかの動きを返すはずですし、ロシアとの関係改善は、米国のトランプ大統領の方向性とも一致します。
ロシアは、外交面では対欧米で中国と足並みを揃えることが多いのですが、国内ではロシア正教をもとにキリスト教国としてのアイデンティティを打ち出す政策を進めており、その意味で宗教を否定する中国共産党とは本質的な部分で異なると言えます。
ですから、特に親日的なプーチン大統領の治世は日本にとって千載一遇のチャンスとも言えるので、ロシアとの関係は一つの問題に固執することなく柔軟に考えていくべきではないでしょうか。
ひょっとして、択捉島への戦闘機配備は、北海航路を開拓する中国に対する牽制の意味合いもあるのかもしれないのですから。
※:8月4日付NHKニュースhttps://www3.nhk.or.jp/news/html/20180804/k10011563031000.html?utm_int=news-international_contents_list-items_014