トランプ大統領は、北朝鮮の非核化を平和裏に進めようとしています。
その成功のカギは、指導者である金正恩委員長を立てることにより、軍部などの強硬派が反発できないようにして、北朝鮮の実質的な敗戦処理を行うというものです。
独裁政権は、往々にして強硬な姿勢を示すことで強い指導者を演出して国内の統率を図るので、独裁者が弱い部分を少しでも見せると、離反が起こり、政権が危うくなります。
こうした傾向は、中国も北朝鮮と同じと言えます。
現在の習近平主席は、好調な経済を背景に反対勢力を排除して、習主席個人に毛沢東や鄧小平と並ぶ権威付けを図っています。
その過程で、習主席を偉大な指導者として演出する必要があるので、面子をとても大切にしています。
しかし、トランプ大統領が仕掛けた貿易戦争により、右肩上がりで来た中国経済の先行きが不透明になりつつあります。
中国としては、経済を守るために穏便な形で貿易戦争を回避したいはずですが、仕掛けられた貿易戦争に対し、譲歩する姿勢を見せれば、習主席の面子を潰すことになりかねません。
ですから、盤石に見えた習政権も、トランプ大統領の戦略により難しいかじ取りを迫られていると見ることができます。
実際、中国は米国が仕掛けた貿易戦争に思うような打開策を見いだせない状態が続いており、習主席の権威に反発するような動きが国内に出つつあると伝えられています。
トランプ大統領は、北朝鮮問題の先に、中国の覇権拡大を阻止する計画を描いているように見えます。
トランプ大統領は稀代の戦略家かもしれません。