過日、那覇空港で立ち往生した航空自衛隊の早期警戒機「E-2」の事故原因は、プロペラの逆推力装置の不具合と見られています。
この事故を受けて、自衛隊は那覇基地に配備されている4機を含む13機全てのE-2の飛行を停止させています。
南西諸島周辺には、自衛隊のレーダーサイトが4カ所ありますが、地表のレーダーでは、低空を飛行する目標を遠方で捕捉することは困難です。
目標が、小型であったりステルス機であったりすると、捕捉がより困難となります。
そこで、高性能のレーダーを搭載した早期警戒機により、上空から警戒監視を行うことで、より的確に対領空侵犯措置などを行うことができます。
しかし、日本周辺の警戒監視活動の重要な役割を担っているE-2の飛行停止は、一時的であるにせよ、我が国の防衛に穴を明けかねない事態です。
特に、尖閣諸島を始めとした南西諸島周辺では、中国機による日本領空への接近が相次ぎ、那覇基地のE-2は切り札的な存在となっており、この機に乗じた中国の動きも懸念されます。
実際には、E-2と同様の警戒監視機能と、E-2には無い管制機能を併せ持った航空自衛隊の「E-767」という機体が4機あるので、在日米軍と合わせればある程度は補完できるものと思われますが、綱渡り的な状況であることは間違いないでしょう。
ですから、E-2の早期の飛行再開が望まれますし、今後、導入が予定されているE-2の発展型の早期の運用実現に向けて体制を強化する必要があると考えます。