ホンダは、二足歩行ロボット「ASIMO(アシモ)」の開発を取りやめ、介護用など、より実用的なロボット技術の開発に傾注する方針を明らかにしました。
ホンダが初めてASIMOを披露した際は、鉄腕アトムを連想させる人型ロボットとして、世界中を驚かせました。
その後、日本のロボット技術は他の追従を許さないレベルにあると見られていましたが、近年は、他国の追い上げも激しく、米国の「ボストン・ダイナミクス社」のロボットは、ジャンプをしたり、バック転をしたりするまでに至っており、少なくとも運動性能だけを見る限り、ASIMOを大きく引き離しています。
こうした他国のロボット技術の進展は、実は、軍や国防技術と無関係ではありません。
前述のボストン・ダイナミクス社は米国国防総省が資金的に援助していますし、米軍は様々な技術的なコンペティションを開催し、企業のみならず大学の研究機関などの技術開発の促進を図っています。
一方、日本では、防衛省が大学などの研究機関に資金的な援助を行う仕組みがありますが、大学は教育機関として軍事的なものには関わらないとの方針のもと、応募は限られているのが実情です。
しかし、軍事技術とは言え国防に寄与することは国や国民を守り平和を維持することに繋がるだけでなく、元は軍事技術であったインターネットや旅客機などに代表されるように、私たちの生活を便利にすることにも繋がることも多いのです。
今こそ、軍事的なものは全て悪という考えを改めて、国防に寄与する技術開発に誇りを持って取り組めるようなカルチャーを醸成すべきではないでしょうか。