福島第一原発の事故により発生した汚染水から、放射性のトリチウムを分離することに成功したと近畿大学が発表しました(※)。
汚染水は溜まり続けており、その処分方法が課題となっていますが、これまでは汚染水から放射性物質の中で唯一トリチウムを分離して取り除くことができませんでした。
トリチウムは放射性物質であるものの、放射線は比較的弱く人間の体内に蓄積されることもないため、希釈して海に放出することも検討されていましたが、地元などから根強い反発がありました。
今回のトリチウムの分離成功で、今後、現場においてトリチウムを処理する技術が確立されれば、汚染水処理が進展する可能性があります。
不可能と思われることも、倦まず弛まず努力すれば可能性が開けると言いますが、技術者のご努力に敬意を表したいと思います。
一方で、放射性物質に関する風評は未だに残っています。
事故当初の報道の仕方にも問題があると思いますが、目に見えない放射性物質に対する恐怖心は理解できない訳ではありません。
しかし、正しい知識をもとにすれば、必要以上に怖がることは無いのではないでしょうか。
国が進める除染の目安は、年間1ミリシーベルト以下です。
この値は、国際放射線防護委員会(ICRP)が勧告した目標値1~20ミリシーベルトをもとにしていますが、1ミリシーベル“以下”ということであれば、実質的にICRPの勧告よりも厳しいということになります。
自然界における世界の年間被ばく量の平均は2.4ミリシーベルトと言われていますし、ICRP自身も年間100ミリシーベルト以下では人体への影響は実質的に認められないとしているのですから、国の除染目標も見直すべきではないでしょうか。
そうすれば、ほとんどの地域で避難指示が解除できるはずです。
福島第一原発の事故とそれに伴う避難により、今なお、多くの人がご苦労なさっているのですから、除染目標の見直しは、福島の一層の復興に繋がるのではないでしょうか。
※:6月27日付共同通信ニュースhttps://www.47news.jp/national/genpatsu/2499173.html