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2018/06/25【軍事大国化の原資を断つ戦略か】

 中国が3隻目の空母を建造しているとの報道があります。

 3隻目の空母の最大の特徴は、航空機を発艦させるためのカタパルトを備えている可能性が高いということです。
 

 1隻目と2隻目の空母は、カタパルトを備えておらず、風上に向かって航行する空母の速力と航空機の推力を利用して発艦させるので、運用できる航空機の重さに制限があります。

 具体的には、航空機に搭載できる兵器や燃料の量が制限されるので、戦闘能力が落ち、航続距離が短くなるのです。
 

 しかし、カタパルトを備えれば、兵器や燃料の搭載量を増やすことができるので、作戦能力を高めることができます。

 しかも、中国が計画しているのは、電磁式カタパルトとのことです。

 米国のほとんどの空母に備えられているカタパルトはスチーム式ですが、電磁式はスチーム式に比べて、運用効率が高いのが特徴です。

 電磁式は、技術的に高度である上に、大量の電力を必要とするため、米国も最新の空母でようやく実用化するに至っている状況です。
 

 
 中国が電磁式を実用化すれば、世界で2番目ということになり、その技術は次世代の兵器とされるレールガンに応用できる可能性があります。

 レールガンは各国が開発を進めていますが、実用化されれば、従来の炸薬を使用した火砲に比べ、射程距離や命中精度を飛躍的に高めることができます。
 

 こうした中国の目覚ましい軍事技術の発達の背景には、潤沢な資金を投入できる好調な経済があります。

 トランプ大統領は、国内の支持基盤を固めるために、やみくもに貿易戦争を仕掛けているとの印象がありますが、少なくとも巨額の赤字を抱える対中国貿易に関しては、軍事的な脅威を押し留めるために原資である経済の部分を絞め上げるという思惑を見て取ることができます。

 
 歴代の米大統領の中には、中国を経済的に発展させれば、それに伴い民主化も進展するという戦略をとることもありましたが、結果は、一党独裁の巨大国家を誕生させてしまいました。

 そうした反省に立ってトランプ大統領は戦略の転換を図っていると見ることができますから、日本も、米国の中国に対する経済的な包囲網を後押しするべきではないでしょうか。