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2018/06/22【原発事故を経験した日本の使命】

 中国で最新式の原子炉が稼働を始めた模様です(※)。

 EPRと呼ばれるこの原子炉は、フランスが技術協力したもので、従来の原子炉に比べて安全性と経済性を高めているとされます。
 

 EPRは、うたい文句とは裏腹に一部で安全性に対する疑問の声が上がっているものの、中国のEPRが世界初稼動ということになり、中国の原子力関連技術は世界を一方リードしたと言えるかもしれません。
 

 
 世界では、福島第一原発の事故後も、原発に対する一定の需要があり、各国が受注競争を繰り広げています。

 日本企業も、受注獲得に動いており、受注に成功した例もありますが、国内では原発の再稼動が進まず、原子力産業が斜陽産業と見なされる雰囲気もあるため、世界をリードするような新たな技術開発が進むのか懸念があります。
 

 いくら再生可能エネルギーの普及が進んでいるといっても、天候など自然条件に左右される多くの再生可能エネルギーは安定電源とは言えません。

 また、火力発電も化石燃料の確保が国際情勢によって左右されますし、埋蔵量に限りがあるので未来永劫に渡って確保できるエネルギーではありません。
 

 従って、原子力は今なお現実的な安定電源なのですが、日本を含む先進各国が、原子力の利用に消極的ならば、最先端の原子力技術は中国に握られてしまう恐れがあります。
 

 安全性が最優先される原子力技術において、世界の原子力発電が中国製原子炉に席巻されるような事態になることを、多くの人が不安を持つはずです。
 

 やはり、福島第一原発の事故を経験した日本は、原子力から手を引くのではなく、事故を経験したからこそ、事故を教訓として世界一安全な原子炉を作り上げて世界に供給する使命があるのではないでしょうか。

 そのためには、安全が確認された原子炉の再稼動を進めるとともに、原子力に関わる人材の育成と確保を官民で進める必要があると考えます。

 ※:6月19日付産経新聞http://www.sankei.com/world/news/180619/wor1806190002-n1.html