自民党は、「防衛計画大綱」と「中期防衛力整備計画」に向けて提言をまとめています。
その中で、「空母」の保有を打ち出していますが、名称を「多用途運用母艦」としています。
空母の保有は専守防衛の範囲を逸脱するとの指摘があるため、「空母ではなく、多用途運用母艦である」ということにしたいようです。
かねてより幸福実現党が提言してきましたが、いよいよ自民党も空母の導入を提言するところまできました。
しかし、自民党が導入を提言するのは空母ではなく、あくまでも多用途運用母艦なのだそうです。
世界には、航空機の発着機能と、舟艇などによる揚陸機能を併せ持った艦を、空母ではなく揚陸艦などと呼ぶことがありますが、既に自衛隊のいずも型の護衛艦は、指揮能力などを別にすれば、航空機の発着機能以外に敵を攻撃する機能がほぼないため、空母以外の何物でもありません。
にもかかわらず、いずも型はあくまでもヘリコプター搭載護衛艦なのだそうです。
そもそも「護衛艦」という名称も、自衛隊発足の経緯から命名されたものであり、世界的には「駆逐艦」や「フリゲート艦」に相当するものです。
戦争を想起させるものは全て悪という雰囲気の中にあっては、空母を導入するにもかかわらず空母ではないとして、なし崩し的に導入するのが、政治の手練れということなのかもしれませんが、何か釈然としないのは確かです。
最近の国会での議論でも、野党やマスコミからのあげ足を取られないようにと、本質から目をそらせたような発言が散見されます。
その結果、政治を分かりにくくしていると考えます。