現在、数字上は中国経済は好調に推移しているように見えます。
中国政府の発表によると昨年の経済成長率は6.9%と、以前に比べると鈍化しているものの高い値であることに変わりはないようです。
ただ、中国政府の発表する経済指標は恣意的に操作されているとの疑念がつきまとっているため鵜呑みにしないほうがいいようです。
しかし、貿易額は他国との相互関係で算出されるため、中国政府も隠しようがありません。
そして、好調な中国経済を支えているのが貿易ですが、中国の最大の貿易相手国は米国です。
その米国の昨年の対中貿易赤字は3,750億ドルとなっており、日本円に直すと41兆円余りにも上ります。
つまり、米国だけで中国に41兆円もの利益をもたらしたと言えます。
ここで、中国の軍事費を見てみると、昨年は推定で2,000億ドルから3,000億ドルとされていますが、米国との貿易だけで、その軍事費の全てを賄える額になります。
もちろん、貿易で得た利益の全てが軍事費に費やされるわけではありませんが、空母や戦略型原潜の建造、軍事利用目的の宇宙開発など、すさまじい勢いの軍拡を支えているのが好調な中国経済なのです。
こうした中でトランプ大統領が、中国に対して2020年末までに2,000億ドル(約22兆円)の貿易赤字を削減するよう要求しているとの報道がありました(※)。
この数字は貿易額としては莫大な額ですが、貿易不均衡の是正を考えれば、トランプ大統領の要求はもっともなものです。
そして、トランプ大統領のこの要求は、中国の軍拡を阻止する目的がると見て間違いありません。
中国にしてみれば、2年余りで貿易黒字が半分になるとすると、軍事費への影響も避けられないはずです。
今後、米中の駆け引きが活発化するものと見られます。
日本の安全保障の観点からも、米中貿易協議の行方に注目したいと思います。
※:5月4日付共同通信https://www.47news.jp/news/2325484.html