野党6党が国会審議を拒否する中で、政府は、働き方改革法案の成立を目指し、早期の審議入りを目指す構えです。
その政府案では、時間外労働の規制を強化するとしています。
長時間労働が過労死の原因となっているという考えから、時間外労働の総時間に上限を設けるものです。
確かに、長時間労働を強いられ心身に支障をきたす労働者がいることは事実であり、行き過ぎた長時間労働に制限を設けることは、労働者を守る上で有効な場合もあるでしょう。
しかし、労働者の立場になって考えると、自ら望んで時間外労働を行いたいという人がいることも事実です。
経済的な理由で残業をしたいという人もいれば、もちろん仕事が面白くてやりがいを感じて残業をしたいと言う人もいるでしょう。
よって、仕事の内容や労働者個人の許容力、職場環境など様々な要因で過労死に繋がるような負荷は変わるにもかかわらず、国が一律に時間外労働時間を規制するやり方に違和感を覚えます。
これは、安倍首相が自ら唱える規制緩和の方針にも反するのではないでしょうか。
そもそも過労死は、労働時間を減らすことだけでは解決できるものではなく、メンタルヘルスケアなど総合的な対策を打つ必要があるものです。
ですから、時間外労働の規制を強化することには慎重であるべきと考えます。
時間外労働の規制は民間の裁量を狭めるものであり、この流れはあらゆる分野に規制が設けられる、いわゆる“大きな政府”に繋がって、民間活力が弱まっていく政策になるのではないでしょうか。