中国が、覇権的に軍拡を続けるのも、国内の共産党支配を強めるのも、海外支援でその国の政権を絡め取るのも、そして習近平主席が独裁体制を築く礎になっているのも、全ては好調な中国経済の存在があるからです。
その好調な中国経済を支えているのが貿易です。
中国の貿易がうまくいかなくなれば、軍事にお金を回せませんし、何らかの見返りと引き換えに海外に気前よく経済支援を行えませんし、何よりも中国共産党や習近平氏へ国民の不満が向かうことになります。
ですから、トランプ大統領が打ち出した保護主義的な貿易政策は、中国にとって大きな懸念となっているのです。
中国は、表向きには貿易戦争も辞さない覚悟を示していますが、何とか穏便に済ませたいというのが本音です。
別の見方をすれば、トランプ大統領は、非民主的な国家が台頭することを防ぐために、その源を断とうとしているのです。
そうしたことから、中国は、今、日本との関係を見直して関係改善に舵を切り、日中共同でトランプ大統領の保護主義政策に対抗しようとしているのが読み取れます。
それは、8年ぶりに日本で開催されている日中ハイレベル経済対話の実施にも現れています。
もともとこの経済対話は、日本の尖閣諸島の国有化に中国が反発し、一方的に開催を見送ってきたものであり、尖閣諸島については8年前と状況に大きな変化はないのです。
にもかかわらず、中国が日本との経済対話に前向きになった理由は、そうしたトランプ大統領の政策に対する懸念と思惑があるからなのです。
しかし、日本は中国と共同戦線を張るのではなく、むしろトランプ大統領側にこそつくべきと考えます。
貿易や投資面で、中国にあって日本にはない貿易上の制限が多々ありますから、日本はトランプ大統領に呼応して、不公正な日中貿易を是正するように中国に迫り、是正しなければ何らかのペナルティを課すべきではないでしょうか。