韓国政府の特使が北朝鮮を訪問し、金正恩委員長らと会談をしました。
特使が帰国後、韓国政府は会談の内容を公表し、北朝鮮が非核化の意思を示し、米国との対話の用意があることを示したとしています。
朝鮮半島の対話ムードが醸成され、国際社会もこうした動きを歓迎する向きもあります。
米国などは未だに北朝鮮の真意を慎重に見極めようとしていますが、北朝鮮の軟化の背景には、昨年からの経済制裁が一定の効果をあげた結果であるというのが大方の見方です。
北朝鮮は、韓国を足掛かりにして、何とか経済制裁を緩和したいと考えるほど、経済が逼迫した状況にあるということのようです。
しかし、北朝鮮がここまで急激に態度を軟化させるのには、他の理由も考えておく必要があるのではないでしょうか。
例えば、時間稼ぎです。
トランプ大統領は、歴代の米国大統領に比べると、脅しではなく本当に軍事行動に出る可能性が高いと言えます。
北朝鮮としては、そうなる前に、米国に軍事行動をためらわせるための抑止力を高める必要があります。
具体的には、大陸間弾道ミサイルの開発、ミサイル防衛を突破するためのMARV弾頭などの開発、核弾頭の量産、弾道ミサイルの量産などです。
他に、米国やその同盟国の喉元を突く何らかの作戦を準備しているのかもしれません。
こうしたことを準備するために、何とか時間を稼ぎたいのかもしれません。
一方で、まさか南北が対話のテーブルについている時に、軍事行動は起こさないと思いますが、兵法の常道からすれば、まさかと思う時に動くことが勝ちに繋がります。
これは、北朝鮮だけでなく米国にも言えることですから警戒する価値はあります。
北朝鮮の過去2回の対話ムードの時も、世界は期待感を持って見守りましたが、結果的に北朝鮮を利しただけでした。
その轍を踏まないために、次に北朝鮮がどう動くのか様々なケースを想定しておかなければなりません。