普天間基地の移設先である辺野古地区がある名護市の市長選挙が行われ、移転容認派と目される新人が当選しました。
辺野古移設の断固阻止を掲げる現職を破ったことは、普天間基地の危険性除去や安全保障の観点からひとまず評価できるものです。
しかし、今回当選した新人は選挙戦で辺野古移設についてはほとんど言及しませんでした。
辺野古移設を選挙の争点とすると不利になると見て、あえて言及せずに、経済の活性化を中心に選挙戦を展開しました。
結果的に、移設反対派の現職に勝利したものの、有権者をはぐらかした印象は否めません。
一方、落選した現職は、移設阻止を前面に掲げて選挙戦を展開しましたが、閉塞感のある地元経済に対する打開策を示せませんでした。
その結果、現実の生活を無視できない有権者から大きな支持は得られませんでした。
ただ、落選した現職や、その現職を推す沖縄県知事をはじめとした野党の多くは、辺野古移設反対でまとまっていましたが、覇権的な海洋進出を続ける中国の脅威については、ほとんど口を噤んでいます。
在沖縄の米軍の果たす役割の一つが、中国への対処ですが、中国の脅威を強調すると、反基地・反米軍の論理が破綻をきたすことになるためか、選挙戦では言及することはありません。
そもそも、国家全体の安全保障に関わる問題を一地方自治体が左右すべきことではないと考えますが、移設容認派、移設反対派ともに「都合の悪いものには言及しない」という姿勢に、釈然としないものが残る選挙戦だったのではないでしょうか。